第18回 エンゲージメントとは何か(2019.03.15)
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◆エンゲージメントとは何か
PMBOK(R)第6版では、ステークホルダー知識エリアのプロセス群が下記のようにプロセス名が変わっています。
(「の」が追加されただけのプロセス名もありますが)
立上げ :ステークホルダーの特定
計画 :ステークホルダー・エンゲージメントの計画
実行 :ステークホルダー・エンゲージメントのマネジメント
監視コントロール:ステークホルダー・エンゲージメントの監視
「ステークホルダー・エンゲージメントの計画」プロセスでは、マネジメント計画を作成するのではなく、エンゲージメントの計画、エンゲージメントを獲得するための計画を作成するという、名称になっています。
PMBOK(R)ガイドの用語集では、
「プロジェクト・ステークホルダーのニーズ、期待、関心事項、およびプロジェクトへの潜在的影響に基づいて、プロジェクト・ステークホルダーの関与を促すアプローチを決定するプロセス」
と解説され、エンゲージメントは、プロジェクトへの関与と考えています。
一般的には、エンゲージメントには、業界などによって異なりますが、下記の意味があります。
・辞書:契約。約束。結婚の約束。婚約。
・人事・労務用語:社員の会社への愛着心。
・ブランド用語:ブランドに消費者が関与することで構築されるブランドと消費者との絆。
・マーケティング:広告などで、消費者の興味を引き、消費者と企業との結びつきを強めること。
・SNS用語:投稿に対し、閲覧者が「いいね」ボタンを押したり、リツィートすること。
・アメリカの政策:1980年代後半のロシアとの冷戦後の政策。ロシアや中国の国内体制は認めないが、相手国との貿易 ・投資を進め、米国の国益に合致する「取り込み」を行う。
・軍事用語:攻撃において、照準を当てること
PMstyleでは、エンゲージメントを、人事・労務用語に近い「自ら進んで協力したくなる、心からの愛着」と考えています。
詳細は、下記コラムをご参照ください。
PMの道具箱 第65回 コミュニケーションログとエンゲージメントマネジメント
また、研修・セミナーの中で、エンゲージメントの説明として、P社の洗濯機について話しています。
私にはアレルギーの息子がいるのですが、小学生の頃、息子がポケットティッシュを入れたままの半ズボンを洗濯機に入れていまして、それに気がつかず、そのまま、洗濯機を回したことがあるのです。ポケットティッシュのビニールが、洗濯物に絡まっていましたので、あ〜、ティッシュを入れたまま、洗濯してしまった〜
な〜に〜 やっちまったぜ〜
と、がっくりきたのですが、まったく全ての洗濯物にティッシュがついていません。
トイレットペーパーは水に溶けるのですが、ティッシュは水に溶けませんので、なぜ?と思い、調べましたところ、屑取りフィルターにたっぷりのティッシュが詰まっていました。
ポケットティッシュ1個分の屑をすべて、屑取りフィルターは取り去ってくれたのです。なんという洗濯機でしょう!!!
元々、家電はP社がいいかなあ、と思っていたのですが、この1件で私の中では、家電はP社で決まりです。また、美容家電にも最近は力を入れていますので、新製品には常に注目し、お財布と相談しながら、購入しています。
ですので、P社の売上状況がいまいちであろうが、不正が発見されようが、誰が社長になろうが、私のP社への愛着心に、変わりはありません。
これが、エンゲージメントです。
この話をしたところ、ある女性の方は、「私はH社製洗濯機のファンです。なぜならば、造船やタービンで培ったモーターの技術がすごい、からかどうかは分かりませんが、H社製洗濯機は壊れないからです。」とおっしゃっていました。
洗濯機への愛着のポイントも人によって、異なるということですね。
プロジェクトでも、コンセプト、ビジョン、目的などに共感してもらうことは当然、重要なことですが、エンゲージメントを獲得するためには、ステークホルダーが何を見ているのかを洞察し、ステークホルダーが求めるものを提供する必要があるということですね。
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講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
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主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
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1.ステークホルダーマネジメントとは何か
2.ステークホルダーの特定・プロジェクトのパラメータ
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3.影響力の法則(R)
・(演習3)カレンシーを考える
4.概念的に考えて具体的に行動する
・コンセプチュアルスキルとは
・本質を見極める
・洞察力を高める
5.ステークホルダーと良い関係を作る・WinWinの関係
・(演習5)期待と要求のロールプレイ
6.まとめ
・(演習6)カレンシーを再考する
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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