◆プロダクトマネジメント体系
ここまで見てきたように、プロダクトマネジメントというのは製品に関する幅広い分野を扱う職務である。その全体像を整理したものが、下記に示す「プロダクトマネジメント体系」である。
この図は” The Product Manager's Handbook”の最新版の内容を元に作成したものである。同書ではプロダクトマネジメントの機能を上流(upstream)と下流(downstream)に分類して整理している(プロダクトマネジメントを体系的に整理する場合、これ以外の分類もあり得るが、本連載ではこの分類にしたがい、プロダクトマネジメントの全体像を解説する)。
わかりやすく言うと、製品やサービスの市場投入を境として、市場投入までに行うべきことを「上流」、市場投入後に行うべきことを「下流」として分類している。
「上流」は、製品のコンセプトを検討し、製品化した上で、市場に投入するフェーズに相当する。この段階は新製品を市場に投入するまでの計画立案や、それに伴うさまざまな点を考慮する段階である。一方、「下流」は製品投入後、新たに投入した製品とすでに投入されている製品をあわせて管理するフェーズである。この段階は、新製品のマーケティングを行うことに加えて、既存製品の強化や撤退などといったライフサイクル管理を考慮する段階である。
そして、上流・下流の両方のフェーズに共通して必要になるのが、ベースとなるビジネススキルである(なお、この図で示しているものは代表的なものであり、網羅的ではない)。プロダクトマネジャーとして必要なリーダーシップや意思決定などのスキルに加え、意思決定を行う際に必要となる会計や価格に関する情報を把握し、分析することができるスキル、そしてコンペティティブ・インテリジェンスと呼ばれる競合の状況を分析するためのスキルなどもここに含まれる。
本連載では、今後、このようなプロダクトマネジメントの体系をひとつずつ紐解きながら、その全体像を解説していく
新井 宏征
SAPジャパンにて、BI関連のソフトウェア導入業務に従事した後、2007年よりシンクタンク勤務後、2013年に独立。主に法人関連分野のコンサルティング業務に従事。主な著書に『スマートグリッドの国際標準と最新動向2012』、『グーグルのグリーン戦略』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『90日変革モデル』などがある。
Facebook上でプロダクトマネジメントのグループも管理している。
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