第193話 コンセプチュアルな人々(16)マルチタスク(2026/08/17)
◆聖徳太子
マルチタスクというと、聖徳太子が頭に浮かびます。7人の人の話を同時に聞き分けることができたそうです。その話をいつ聞いたのかは覚えていませんが、小学生か中学生の頃に先生に聞いたように思います。が、日本書紀には、10人の話を聞き分けたということが書かれているそうで、7人説、8人説、10人説と諸説いろいろあるらしいです。
どちらにせよ、日本初のマルチタスクをされた方かもしれません。
◆タイムシェアリング処理
昔、コンピュータ処理は、シングルタスクしかできず、あるプログラムの処理をしていると、CPUでは、他のプログラム処理ができず、あるプログラムの処理が終わるまで、待ち(Pとして注目されているペンディング)状態です。
それが、マルチタスクという概念が出てきて、タイムシェアリングとして、複数のプログラムに一定のCPU処理時間を割り当てることで、一瞬には、1つのプログラムの処理しかしていませんが、見た目では、複数のプログラム処理をすることができるようになりました。
CPU処理を割り当てられていないプログラムは、待ち、もしくはIO処理をしていたわけです。
すると、複数のプログラムに対してタイムシェアリングで処理を進めていきますので、このプログラムはここまで処理し、次の順番が来るまで、ペンディング(待ち状態)、あのプログラムはここまで処理し、今はIO処理をしている、など、すべてのプログラムの現在の状況を把握し、管理していました。
もし、優先順位をオペレーターに変えられたら、処理の順番も変えないといけません。
つまり、全体の状況と、CPUの空き状況、IOの処理状況、そして優先順位を考慮して、今、処理すべきプログラムにCPUを割り当て、そして、すべてのプログラムが正常にそして、早く終わるように対応しているのです。
大局を見ると同時に、1つ1つのプログラムを詳細に管理・分析しています。
◆シングルタスクとマルチタスク
シングルタスクですと、1本のプログラムにかかる時間は、マルチタスクに比べて、タスク間を移動する無駄時間がないため、早く終わります。ですが、IO処理をしている間、CPUは全く遊び状態ですので、それはもったいないということで、マルチタスクが主流になりました。
マルチタスクになると、タスク間を移動する時間が余計にかかりますが、CPUの無駄時間がないため、複数のプログラム全体では、シングルタスクに比べると早く終わることができます。
コンピュータですので、このプログラムはこの状態、あのプログラムはあの状態、と記憶するのは得意ですし、どのプログラムを先にすると全体が早く終わる、重要なプログラムから早く終わらせる、ということが簡単にできます。
では、人間はどうでしょうか。
よく聞きますのは、プレイングマネジャーであるプロジェクトマネジャーは、自分の作業が佳境になると、マネジメントがおざなりになってしまう、ことが多いということです。
また、あの人は、自分が何か作業に取り組んでいても、教育している部下の言動については、聞き耳をたてているし、目の端でちらっと見ておき、後で、褒めたり、注意をしている、何でそんなことができるんだろう、とも耳にします。
コンセプチュアルな方ですね〜
◆マルチプロジェクトマネジメントにおけるマルチタスク
PMstyleでは、「マルチプロジェクトマネジメント」セミナーを実施しています。その中では、ビジネスから見たプロジェクトのアライメントなどを扱っています。そしてできれば、プロジェクトメンバーはなるべく、複数のプロジェクトを担当しない方が効率が良いことをお伝えしています。
ですが、どうしてもマルチタスクになった場合は、どのタスクから進めていくのかを決めておくべき、ともお伝えしています。
例えば、
・少しの時間でプロジェクトを前に進めることができる
・プロジェクトが終結に近い
・決定が必要か、不明確なために遅延しそう
などの条件が当てはまれば、そのタスクから手をつけていきます。
が、これらの優先順位は、考え方次第、状況次第で、自分が決めることです。また、言い変えれば、相手やステークホルダーのことを考え、自分一人だけではなく、プロジェクト全体、部署全体、会社全体の人が作業が楽になる、早く終わる、成果が高くなる、価値が高くなる(今のPMBOKガイド(R)の流行りで言えば)ことを優先しているのかもしれません。
リスクが小さくなる、ステークホルダーの満足度が高くなる、次工程の人の生産性が上がる、新人を育成することができる、etc.
と、いうことは、そのタスクを選んで作業した結果、それらのことが生まれるのではなく、それらを目的にして、タスクを自分が選んでいることになります。この順番は重要です。何にも考えないで行動した結果、いい状況になったのか、いい状況を目指してその行動をしたのか、です。
◆フランクリン・コビーの7つの習慣
リーダシップを発揮し、人間関係を変える7つの習慣という原則があります。その中で、最優先事項を優先とする習慣があり、緊急度と重要度で考えています。
すぐに実行しないと困ることは最優先事項ですが、そればかりを実行していると、重要度の高い作業をする時間がなくなります。さて、どうするのでしょうか、という課題です。
重要度も高く、緊急度も高い作業は、当然最優先です。どちらも低い作業は、できるだけやらないように済ませます。では、重要度が低いけれど、緊急度が高い作業と、重要度は高いけれど、緊急度が低い作業はどちらを先にするのでしょうか。
作業順や1日のどこでやるのか、などは工夫の余地がありますが、やりたいことは、重要度の高い作業は取りこぼさない、ギリギリになってやっつけ仕事にしない、ということです。
そのために、1週間のうち、1日の午前と午後、もしくは2時間ずつなどのタイムボックスを作り、そこに作業を当てはめた作業計画を事前に作っておくことが重要です。計画がないと、常にやっつけ仕事、出たとこ勝負になり、どうしても緊急度だけが判断基準になってしまいます。
全体を見て、部分も見て、短期も見て長期も見る、いわゆる概念の世界と形象の世界の往復をして、作業の進め方ができる人は、コンセプチュアルな人々です。
7人の人の話を同時に聞き分けられた聖徳太子さんも、きっとコンセプチュアルな人々だったのだと思います。お会いしたいものです。
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講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_skill.htm
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得
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