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第25回 プロジェティスタのケース(2009.06.26)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆プロジェティスタの4つのスキル

ずいぶん、道草を食ったが、第7回で話題にしたプロジェティスタのスキルについて考えてみよう。

(1)プロデュース
(2)コラボレーション
(3)プロジェクトマネジメント
(4)メンタリング

の4つである。


◆プロジェティスタの活動を考えるケース

最初はプロデュースから解説していきたい。プロデュースは、ビジョンを生みだし、そのビジョンを達成するための活動である。まず、最初にこんなケースを考えてみてほしい。

多少、脚色しているが、ほぼ、実話である。

=====(ケーススタディ)=====

電子家電メーカA社が、ICオーディオの新商品開発プロジェクトXを展開しようとしている。

プロジェクトXのプロジェクトマネジャーN氏は、マーケティング部門のリーダーである。半年かけて新商品のコンセプトをとりまとめようとしていた。マーケティング担当者、デザイナー、音響技術者、電子技術者、生産技術者、営業担当者などが集まる中、A社のパートナー企業B社のSさんは、開発フェーズでソフトウェア開発のリーダーを担当する予定で、ソフトウェア担当の立場で企画フェーズに参加していた。
もうこれで、携帯用ICオーディオの開発プロジェクトは3回目。今回、はじめてリーダーという立場になった。
ソフトウェアという担当上、商品の構造全体を熟知していた。

会議の中で、Sさんはソフトウェアを工夫すれば、複合的な機能を持つ情報端末になり、ユーザビリティも高まり、現在の高音質、小型化、大容量化とは別の競争ができるのにとぼんやりと思っていた。

ただ、プロジェクトマネジャーのN氏は今回の新商品を携帯型オーディオとして捉えており、如何によい音質のものを如何に小さく、軽く作るかに重きを置いていた。また、プロジェクト全体としても音響技術者が幅をきかせているので、ソフトウェア外注先企業がそんなことを言い出す雰囲気ではないので、沈黙していた。

コンセプト作りは順調に進み、いよいよ、具体的な仕様やスケジュール、原価の議論になってきた。ちょうど、その頃、競合P社が、A社の仕様を上回る商品を開発しており、発売時期がバッティングするのではないかという情報が入ってきた。

N氏は発売時期の前倒しでなんとかしのごうと考えた。そして、そのつけをソフトウェアを担当するB社に回してきた。倍の予算をつけることを条件に、通常の三分の二の期間で開発することを求めてきた。

いくら予算を積まれてもできないものはできない。安請負するのはかえってA社に迷惑をかける。

そこで、Sさんはついに、コンセプト開発会議でぼんやりと思っていたことを具体的に提案することを決心した。

=====

実際に、この後、Sさんがどういう行動をしたかは次回、紹介する。

もし、あなたがSさんであればどういう行動をとるだろうか?どのような商品というところまでは詰めなくてもよいので、イメージだけを考えてみてほしい。ちなみに、具体的な商品の仕様まで考えたい向きにはこの話は2000年くらいの話だと思ってほしい。


◆考えるポイント

この話にはいくつかのポイントがあるのでまとめておこう。検討のときにヒントになるだろう。

(1)Sさんなりに、A社が作るべき商品コンセプトのあるべき姿を持っている
(2)Sさんは通常の取引関係でいえば、下請けのソフトウェア開発会社のリーダー
である。A社に対する立場上の影響力(公式パワー)は持たない
(3)商品は、その主機能がソフトウェアによって構成されており、ソフトウエアに
よって現行のハードウエアでも別のカテゴリーの機能を実現できる可能性もある

といった状況にある。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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