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第20回 プロジェクトの本質(2009.04.08)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆プロジェクトの3つの性質

前回、プロジェクト目的の構造化の話をしたが、今回は少し時間を巻き戻し、そもそも、プロジェクトとは何だろうということを考えてみたい。

プロジェクトマネジメントが普及してきたが、多くの組織がプロジェクトという活動の前提を捉え違えているのではないかと思う。PMBOK(R)ではプロジェクト活動の特性として、
・有期性
・独自性(創造性)
・段階的詳細化

の3つをあげている。


◆プロジェクトの性質を否定する傾向がある

ところが、多くの組織では、リスクマネジメントの名の下に、これらのプロジェクトの性質を消し去ろうとしているように見える。さすがに仕事であるので、有期性を消すというのはありえないと思うが、独自性とか、段階的詳細化という性質は消していることが多い。つまり、プロジェクトとは納期内にいかに要求されたものを仕上げるかという生産活動になっている。

たまたま、SIプロジェクトのように生産に近いプロジェクトをターゲットにプロジェクトマネジメントが導入されたという経緯があるので、このような傾向が生じたと考えらなくもないが、言い方を変えると、本来プロジェクトして実施するのに適していないテーマをプロジェクトとして仕立てているという風に見えなくもない。


◆プロジェクトとは工業化のアンチテーゼである

しかし、本来、プロジェクトとはこのようなものではない。プロジェクトの対極にあるのは「工業化」、つまり同じ仕様による大量生産である。工業化とは全く別の方法でものを作ったり、サービスをしようとすると、独自性をいかに発揮するかという課題を抱え、それと工業化された商品と同じ市場で競争をしようとすると、段階的詳細化が不可欠になる。
「経営プロジェクト講座」という本を書かれている鈴木成裕先生は、プロジェクトの本質として、未踏、未来、未知の3つの未をあげられているが、独自性とはその本質の中に生まれるといってよいだろう。


◆プロジェクトは3つ未の視点を入れた問題解決プロセス

さて、ではプロジェクトは経営活動の中でどう位置づけられるのだろうか?答えは一つ。「問題解決プロセス」である。

たとえば、PMO案件力が弱ければPM力を強化するという問題解決をプロジェクトとして行う。そのときのテーマとして、できることをやるのではなく、3つの未を意識して取り組んでいく。これはわかりやすい。

商品を開発するプロジェクトはどうか?商品を持ちたいと考えている問題があり、その問題解決のプロセスが商品開発プロジェクトである。その商品で、問題が解決するというのは多くの場合仮説に過ぎないので、多少、話としては複雑だが、基本的には問題解決プロセスだというのは異論はないだろう。

では、SIプロジェクトのような生産活動はどのように位置づけられるのだろうか?
これについては、2つの見方がある。問題解決としてわかりやすいのは、顧客の問題を解決するプロセスであるというとらえ方である。この場合、組織に一定の利益をもたらすことは制約条件になる。

もう一つのとらえ方は、設定された目標を達成するという問題(課題)の解決プロセスであるともいえる。つまり、受注プロジェクトには確かに納期もあれば、予算もあるのだが、これは顧客との取引条件を踏まえて組織が制約として設定しており、それをプロジェクトが実行すると考える。

この際に問題になるのは3つの未をいかに取り入れるかである。たとえば

未来:自社の未来、顧客との未来の関係の視点
未踏:技術の視点
未知:仕様の視点

といった視点設定をあげることができる。特に、SIの場合、未来という視点がプロジェクト定義の中で重要である。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。」

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