No40. プロジェクトベースライン設定《一般》(2015.11.26)
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【目的】ボトムアップで作成した計画をベースラインとして同意する
【用途】プロジェクトの予算、納期、要求をコントロールするために使う
【効用】プロジェクトのトラッキング、コントロールのための分析の根拠となる
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◆プロジェクトベースラインの役割
ベースラインには、下記の役割があります。
・プロジェクト文書として、社内で公式に認証する
・計画書を情報配布(可能であれば、オンラインやグループウエアで)し、プロジェクトチーム内で共有する
・プロジェクトマネジメントソフトウェア(例えば、MSprojectなど)を使用するのであれば、ソフトウェアにベースラインを設定し、トラッキングを開始する
・スコープクリープを起こさないように仕様を凍結し、統合変更管理、スコープ変更管理を開始する(絶対に、変更しないということではない)
◆プロジェクトベースラインの設定
プロジェクトベースラインは、プロジェクト計画書の構成要素であり、最終的に作成する計画書です。
作成したベースラインは、過去の類似プロジェクトのベースラインに対する実績(計画ではなく、進捗の実績)と比較し、スコープなどのモレはないのか、見積りがあまりにも楽観的ではないのか、などのチェックを行い、完成します。
また、長期のプロジェクトであれば、プロジェクト実施中にこのベースラインの上記のチェックを定期的(例えば、2〜3カ月程度間隔で)に行う作業をスケジュールとして設定しておきます。
チェックでは、ある一定期間の目標(例えば、マイルストーンにおける目標)が、スコープ、コスト、スケジュール、品質において、達成できるベースラインになっているかどうかを確認します。
そして、最終的に制約条件(コスト、スケジュールなど)内で実現できるように、ベースラインの最適化を実施しますが、もし、困難な場合は、プロジェクトの優先順位に従って、ベースラインを調整、変更することで制約条件内に納め、ベースラインとして完成させます。
プロジェクトの優先順位については、下記のコラムをご参照ください。
PMstyle Kit No23. プロジェクト優先順位マトリクス
完成したベースラインは、プロジェクトスポンサーに、プレゼン、説明を行い、承認を受けます。そして、ステークホルダーがプロジェクトに期待していることを、ベースラインに沿って実現していくことを、各ステークホルダーに説明し、納得してもらい、各ステークホルダーの協力、プロジェクトへの参画を依頼します。
方法は、キックオフミーティングで行う場合もあれば、個別に各ステークホルダーと面談する場合もあります。
◆ベースラインを使って差異分析
そして、ベースラインを使ってプロジェクトを実行し、進捗情報を定期的に収集し、プロジェクトレビューにより、差異分析を行います。
ベースラインがなければ、進捗を判断することができません。
何だか、遅れいているなあ、ちょっと進んでいるなあ、という定性的、感覚的な差異分析では、進捗を判断し、プロジェクトの今後を予測することはできません。
また、長期的だけではなく、その作業がいつ終わるのかという短期的な予測も曖昧な予測となってしまいます。
そのため、進捗報告をするメトリクスと計画との差異を判断できるベースラインを必ず設定します。
ベースラインには、スコープベースライン、スケジュールベースライン、コストベースライン、リソースベースライン、品質ベースラインなどがありますが、次回、プロジェクトレビューにて取り上げます。
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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