No23. プロジェクト優先順位マトリクス《一般》(2015.03.31)
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【目的】プロジェクト計画の作成、変更管理を行う際の判断基準を明確にしておく
【用途】プロジェクトにおける意思決定の際に考慮する
【効用】プロジェクトの変更において、が機敏かつ首尾一貫したマネジメントとなる
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◆プロジェクトパラメータの優先順位
プロジェクトでは、スコープ、スケジュール、コスト(QCDS:Qは品質)が3つの重要なパラメータです。
プロジェクトの目的を実現するために、要求されているスコープを、限られたスケジュール、限られたコストで完成させています。
言いかえれば、要求されているスコープを完成させること、限られたスケジュールで、限られたコストで完了することが、プロジェクトの目標でもあるわけです。
通常は、目的を実現するための目標達成なのですが、すべての目標が達成されないと目的は実現できないのか?とは、実は断言できないのです。
例えば、実行している際に、現在の計画されているスコープでは、目的を実現できないことが判明し、スコープを少し変更する必要が発生したとします。
すると、スケジュールを延ばし、コストを少し増やし、その変更を行えば、スコープの目標が達成でき、プロジェクトの目的が実現できます。が、スケジュールとコストの目標は達成できないわけです。
それとも、スコープを変更することより、スケジュール、コストを維持することが、よりプロジェクトの目的を達成するのであれば、スコープの目標達成を少し諦めて、スケジュールとコストの目標達成を優先することになります。
◆判断基準としてのプロジェクト優先順位マトリクス
これらのことを判断するための基準として、プロジェクト優先順位マトリクスがあります。
スケジュール、スコープ、コストがそれぞれ、固定条件、最適条件、受容条件のどれなのかを、プロジェクトの立上げ時に決めておきます。
3つの重要なパラメータですが、絶対に固定で、変更できない固定条件は、スケジュール、スコープ、コストのどれなのか、ある程度柔軟性があり、変更可能な最適条件は、固定条件以外2つのうちどれなのか、そして、最後のパラメータが、柔軟度の高い、受容条件となることを決めておくわけです。
もちろん、立上げ時には、通常は、プロジェクト憲章などのドキュメントにおいて、プロジェクトの目的、制約条件、前提条件などが記載され、社内の公式文書として承認を受けてます。
そして、プロジェクト憲章で、任命されたプロジェクトマネジャーは、制約条件、前提条件のもとで、プロジェクトの目的を実現させるためのプロジェクト計画を作成し、計画に従ってプロジェクトを実行・コントロールします。
その計画作成、実行・コントロール(例えば、以下の場合)において、プロジェクト優先順位マトリクスが意思決定の判断基準として採用されます。
・スコープの定義
・制約条件を考慮したプロジェクト計画の最適化
・変更管理のおける協議
・統合変更管理
・問題解決と意思決定
例えば、
・プロジェクトの目標を多少変更しても、スケジュール、コストを死守するのか
・スケジュールのデッドラインを1週間程度超えても、コスト増加を5%以内に抑えるのか
・必要な機能を多少、削るのか、それとも、要員を追加するのか
・確固とした頑強な成果物の完成のために、少しばかりプロジェクトの完了を延ばすのか
などの判断において、プロジェクト優先順位マトリクスを立上げ時に作成しておくことによって、機敏かつ首尾一貫したマネジメントが可能になります。
また、チーム内でも統一見解として、プロジェクトのあらゆる問題に対して、対処することができます。
◆優先順位のレビュー
ただし、立上げ時に作成したものを、プロジェクト完了まで、首尾一貫して使うのではなく、定期的に優先順位をレビューすることが重要です。
それは、プロジェクトの背景にあるビジネスの状況が変わったときや、上位にあるプログラムマネジメント、ポートフォリオマネジメントに変更があったときです。
また、正しい優先順位かどうかをプロジェクト内で定期的に判断しなおすということも必要です。
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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