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イノベーションとして必要なことは、まず、コンセプト開発であって、ビジネスモデルやデザインはそのあとの話。顧客価値の提供にはコンセプトが不可欠

第38回 コンセプトについて考える(2014.05.28)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆アイデアの時代?

よく技術によるイノベーションの時代は終わった。これからはアイデアの時代だとか、ビジネスモデルの時代だとか、デザインの時代だとかいう議論があるが、正直いうと違和感がある。

たとえば、日本企業には真似ができないくらい、新しいビジネスモデルを創造し、展開しているグーグルの技術開発はすさまじい。ITに限らず、新規技術の開発を怠っていると5年後はないだろう。

この話は以下の記事で整理しているので、読んでみて戴きたい。

【イノベーション戦略ノート:029】技術とイノベーション

【イノベーション戦略ノート:030】続・技術とイノベーション

この話の中でちょっとだけコンセプトについて書いた。今回はコンセプトの話をしたい。


◆顧客価値提供の幻想

大上段に書くが、コンセプトの時代といわれて10年くらいになる。日本企業の一番の弱点はコンセプトだといわれる。少なくとも、日本の企業で「骨太」のコンセプトを考えてビジネスを展開している企業は極めて少ない。

冒頭に述べたビジネスモデルの時代だとか、デザインの時代だとかいう説に違和感があるのは、その前にコンセプトの時代だろうと思うからだ。

デザイン思考による顧客価値を例にとって考えてみよう。顧客を観察していたらすごいニーズを発見した。これができれば顧客は喜んでくれるだろう。そこで、早速、商品の企画をする。ここにコンセプトがなく、すぐに具体的なスペックの話になる。

このようなことをやっているとよい製品はできないし、事業にもならない。顧客ニーズに対応することと、顧客価値を提供することの違いを理解していない人が多い。顧客が欲しいものを提供することが顧客価値の提供であるというのはその通りなのだが、問題は提供の仕方である。


◆顧客価値の提供にはコンセプトが不可欠

受注生産でよくあることだが、顧客が欲しがっている製品を提供しようとしてもコスト的に合わないことがある。顧客価値の中には必ず価格要素が入る。だから、コストの問題を解消しないと顧客価値の提供などできない。

そのためには特定の顧客のニーズに対応するだけでは無理だ。今の時代、アイデアの時代だというのは、アイデアで勝負できるという意味もあるが、技術的に実現可能なアイデアはもう出ているという時代でもある。つまり、アイデアの時代だからこそ、技術開発が必要になる。

ところが母数が少ないと技術開発が伴えば価格的に顧客価値に合わなくなる。それを必要とする顧客を増やす必要がある。


◆日本企業がコンセプトを創れない理由

ここで、販促が必要だと思う人は、高度成長期のパラダイムから抜け切れていない。高度成長期の日本企業は、コンセプトを欧米から輸入してきて、とにかく、継続的に改善を徹底し、高品質で安く製品として実現して、グローバルな競争に勝ってきた。

結果として先進国になり、コンセプトを創らなくてはならない立場になって、苦しんでいる。もちろん、ソニーのようにコンセプトを創って成功した企業がなかったわけではない。しかし、ほとんどの企業はコンセプトを創造できず、具体的な製品や機能レベルで改良を続け、結果として顧客のいらない価値を量産している。いわゆるガラパゴスで、これが20年以上続いているのだ。


◆イノベーションはコンセプトから

今でも、イノベーションというと、コンセプトを考えることなく、具体的な製品だとか、機能だとか、ビジネスモデルの開発に取り組むのはこの名残だろう。

今、イノベーションとして必要なことは、まず、コンセプト開発であって、ビジネスモデルやデザインはそのあとの話だ。

まず必要なのは、顧客の観察によってコンセプトを創ることである。次に、コンセプトに基づいて技術を獲得することである。


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   2.本質とコンセプト
   3.よいコンセプトの作り方
   4.コンセプトをビジネスモデルとして具体化する
   5.コンセプト立案ワークショップ(内容はお問い合わせください)
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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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