◆段階的詳細化におけるマネジメント計画(2)
前回は、プロジェクトの計画には段階的詳細化が必要で、そのためのマネジメント計画が必要と書きました。
はじめてのプロジェクトマネジメント(21)
〜段階的詳細化におけるマネジメント計画
本号は、その続きで、具体的な段階的詳細化の計画の作成方法です。
段階的詳細化していく対象はスコープですので、スコープの計画であるWBSが段階的詳細化の対象です。
また、WBSの最下層の成果物を、いつ作るのか、誰が作るのか、という計画をスケジュール計画、要員計画にて、決めますので、それらの計画も段階的詳細化の対象です。
それでは、それらの計画をいつ、どの部分を段階的詳細化するのか、という点が問題になってきますが、これらのことを決めた、計画を作成するための計画マネジメント計画を作成します。
その計画マネジメント計画は以下の手順で行います。
1.マネジメントの方針を決めます
どのようなマネジメントがしたいのかをまず、決めます。例えば、顧客の要望を全 て取り入れるために、スコープ確定をなるべく後ろで行いたい、などです。
2.マネジメントの方針に従って段階的詳細化の5W1Hを決めます
・Why:なぜ、段階的詳細化をするのか
(例:スコープ確定をなるべく後にするため)
・What:どの計画を段階的詳細化するのか?
WBSは?スケジュールは?担当者は?
・Where:WBSの全部か、もしくは一部を段階的詳細化するのか
・When:いつ、段階的詳細化を行うのか
・Who:誰が段階的詳細化を行うのか
・How:どのように詳細化するのか
上記の5W1Hは、次の手順で分析を行い、段階的詳細化の計画を作成します。
1.計画の作成に必要な情報、必要な決定の中で、立上げ時点で不足しているものをリストアップします
2.初期計画と、段階的詳細化する計画を決める
3.不足しているものがいつ確定するかを分析する
4.確定しないものについては、マネジメント方針に照らし、いつ決めるかを決める
5.詳細化のタイミングを決める
例えば、要員の確保が初期段階では不確定である。
それはいつ決定されるのか分かっていれば、それが段階的詳細化のタイミングになります。もし、いつ決定されるのかが不明であれば、いつ決めるのかを決めます。
例えば、キーマンの参加が不確定で、いつ決まるのかがわからないため、このタイミングで決めましょう。プロジェクトが進まないというタイミングで決めるのか、さっと見切りをつけて早々と決めるのかは、マネジメントの方針に従います。
また、プロジェクトマネジャーのマネジメントのやり方でしょう。
通常、段階的詳細化は、まずはフェーズ、次にマイルストーン、またはリスクが大きく変化するタイミングに着目して行います。
そして、分析の結果を5W1Hにまとめ、マネジメント計画に記載し、段階的詳細化のタイミングにて、WBSやスケジュール、要員計画を段階的詳細化し、更新された計画に従って、プロジェクトを実行します。
このように、計画的に段階的詳細化を行うことで、絵に描いた餅のような計画ではなく、より実用的な、より実行しやすい計画となるはずです。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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