◆思考の幅を広くする(4)〜逆から考えてみる
思考の幅を広くするために、時間的、空間的に広く考えて、逆を考えてみましょう。
それには、二つの方法があり、一つ目は結果から考えてみることであり、二つ目は逆張りのように、悪くなることを考えてみることです。
まず、結果から考えることを見てみましょう。問題解決であれば、原因を考え解決策を考える流れで思考を進めていきます。そこで時間をさかのぼり、結果(解決策)から、どんな視点を取り上げたから、この結果が出たのかを考えてみます。
例えば、簡単な例ですが、ある大学生が、いつも1限目の授業に遅刻をしているとします。本人は、寝坊をし、授業に間に合う電車に乗り遅れ、遅刻をしていると分析しました。寝坊が原因と考え、1限目の授業がある前の日は早く寝る、必ずスマホのアラームを最大音量でセットすることを決めました。
逆に考えるとは、結果(1限目の授業がある前の日は早く寝る、必ずスマホのアラームを最大音量でセットする)から、どんな視点で検討したからこの結果が出たのかを考えてみます。以下のことを検討したからだとわかります。
・前の日の就寝時間が遅い
・目覚まし時計の音が小さいから起きれない
問題解決の目的は、1限目の授業に遅刻しないことです。定刻に起床することができれば、遅刻しないとは限りません。電車の接続や駅への経路、早く寝れば早く起きられるという理由(体調は?)、最寄り駅から大学への経路、などを検討しておらず、あまりにも考えている範囲が狭いと言えます。
もしかすると、どうしても遅刻できない授業であれば、夕方に昼寝をし、その後ずっと起きている、という解決策が出てくるかもしれません。
このように、結果から、考えている範囲は十分(広い)かどうかを考えてみましょう。部下の方などから報告を受けた際には、何を視点として検討したからこの結果が出たのか?視点で足りないことはないか?などを自問自答してみましょう。
はるか昔、算数や数学などの試験で「問題が解けたら見直しをしよう」とよく言われたものです。見直しは、自分の解いた手順に沿って、再度計算し間違いがないのかをチェックすることが多いですが、このやり方はミスを減らすことだけが目的で行うチェック方法です。ミスを減らすことしか生み出しません。別の解き方を考えたり、解答からさかのぼって検算し、解答があっているかどうかでチェックをする方法もあります。こちらは、解答があっていることのミスの確認とともに、別の角度からのチェックですので、解答や解き方の厚みが増す方法です。もしかすると、数学の新しい定理などを発見するかもしれません。
思考も別の考え方や結果から考えることをすることで、厚みが増して(思考の幅が広くなって)きます。
もう一つは、逆(反対)を考えてみることであり、「アンチプロブレム」という手法があります。問題解決をする際には、通常は問題を発生させた原因を見つけ、その原因を発生させないための解決策を考えます。その流れをロジカルに考えれば考えるほど、考える範囲を絞り狭い範囲を考えることになります。反対(逆)を考えるとは、その問題を大きく(悪く)する方法を考えるのです。
そうすると、通常は原因を発生させないために、〜をしない、〜をやめると否定形で考えがちですが、そのような考え方ではなく、何をすれば、その原因、その問題が発生する(大きくなる、悪くなる)のかを考えるのです。
通常は悪くするための方策はあまり考えないため、案はなかなか出てこないことが多いようです。が、これらをかんがえることによって、広い範囲で考えることができるようになります。
もちろん、問題解決は、最終的には、出てきた悪くなる方策と、反対の(そうならないような)対策を実施します。
アンチプロブレムについては、下記コラムもご参照ください。
PMの道具箱 第94回 ゲームストーミング(1)〜アンチプロブレム
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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