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第94回 ゲームストーミング(1)〜アンチプロブレム(2017/03/03)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代

◆ゲームストーミング(1)〜アンチプロブレム

前回の記事では、書籍「ゲームストーミング」について取り上げました。

ゲームストーミング
(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)

本号では、ゲームストーミングの手法であるアンチプロブレムという手法を取り上げます。先月の研修の演習にて、アンチプロブレムを使いました。

アンチプロブレムとは、逆に考えるという手法ですが、会社員を長く続けていますとどうしても、思考のパターンが決まり、問題解決策もパターンが決まってしまいます。そのため、演習では、受講者の方は、とても苦労されていました。どちらかというと若い方のほうが、逆に考えることに違和感が少ないように感じました。

アンチプロブレムは斬新的で画期的な解決策を逆に考えることで編み出すという手法であり、創造的なアイデアを生み出されることがあります。

◆ゲームストーミングがなければ、フューチャーセンターはただのハコモノ

書籍「ゲームストーミング」のまえがきにて、監訳者である野村さんは、創造的な仕事はプロセスではなくゲーム、と述べられています。

また、野村さんは「知識創造を中心に据えた経営とはどんなものか?」を10年以上にわたり、追及され、たどり着いたのが、「フューチャーセンター」だそうです。フューチャーセンターとは、専門知識だけでは解けない、いろいろな要素が複雑に絡み合った問題を解決するために、多様性のあるステークホルダーが集まり対話を行う場です。
もちろんワールドカフェなどの方法論をとる場合もあれば、問題や課題に応じて、集合知的な知恵を最大限に活用できる方法論を選択するそうです。対話の促進役には、目的に応じて即興的にその場に最適な方法論を選択する能力が必要であり、どれだけ方法論を自分の中にストックできているかがポイントだそうです。

そして、その方法論を集めている書籍が、「ゲームストーミング」であり、その中には80以上のゲームが収録されています。主要なゲームとして、親和図法(KJ法)、ボディストーミング(即興劇)、貼り出し法(アイデアをポストイットに記入し貼り出していく)、ブレインストーミングなどが挙げられています。

◆アンチプロブレム

「ゲームストーミング」では、開幕(ファシリテーションで言うところの発散フェーズ)のためのゲームとして、アンチプロブレムが挙げられています。考えに詰まったときに、打開のきっかけが得られるゲームであり、問題と正反対の問題の解決策を考えることで、気づいていないことや新しいアプローチを見つけることが目的です。また、「アンチプロブレム」の解決策が現実の問題の原因と気づくこともあり、「目からウロコが落ちる」瞬間が来るかもしれないそうです。

研修では、プロジェクトを成功させるための課題として、どんな行動をとるのかをテーマとして取り上げ、アンチプロブレムで考えました。

例えば、「コミュニケーションを計画的に行う」を課題として取り上げたとします。そして、アンチプロブレムとして、逆の課題を設定します。例えば、「コミュニケーションを無計画に行う」とか「コミュニケーションを悪くする」などです。

次にその課題を解決するためにどんな行動をとるかを考えました。それらを考慮し、最後に「コミュニケーションを計画的に行う」ためにどんな行動をとるのかを考えていただきました。

逆に考えるというのは、あまり行いませんので、逆の課題では、〜しない、〜ない、と否定の行動しか出てきません。そうではなく、「コミュニケーションを悪くする」ためにはどんなことをすればよいのかを考えます。例えば、「無視する」「すべてメールで連絡する」「席を離す」などです。
そうすることによって、元の課題の解決策が通常のステップでは考えつくことができなかった案が創出されるのでないでしょうか。


◆参考資料
ゲームストーミング
(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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