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第6回 生産性とは何か(2018.11.29)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆「能力の低いリソース」とは何ができないのか

第5回までで、生産性マネジメント、イノベーションマネジメント、ダイバーシティマネジメント、プロジェクトマネジメントのトピックスを議論してきましたので、今回は再び生産性マネジメントに関する議論をしたいと思います。

第2回で生産性に関するトピックスとしてリソース活用の議論をしましたが、この記事に対する意見として、「能力の低いリソースをいくら有効に活用してもできることは限られている」というものがやはりありました。この議論のポイントは、「能力が低い」というのは何が低いのかにあります。たとえば、製造ラインにおける組み立て作業のスピードが遅いのであれば、組み立て作業の生産性はそんなに劇的に変わることはないでしょう。しかし、組み立て作業のスピードが遅くても、みんなの倍のスピードで製品化のアイデアを出せたり、市場ニーズを把握できるかもしれません。

そう考えると、これは業務分担の問題であったり、ダイバーシティーを活かすことができないという問題だと考えることもできます。

今回はこのあたりの議論から始めたいと思います。


◆そもそも、生産性とは何か

そもそも生産性という言葉の定義をどのようにしているかという問題があります。例えば、次の中で生産性を表すのはどれだと思いますか。

(1)作業の労力や時間や資源をどれだけ小さくすることができるか
(2)業務において作られた成果物がどれだけ新しい価値を生み出せるか
(3)業務において1日にどれだけの(作業)成果物を作れるか
(4)業務において作られた成果物がどれだけ組織の目的に役立つか

多くの人が(1)や(3)が生産性だと認識されていると思いますが、これは狭い意味での生産性です。言い換えると、予め決められたものを作ったり、サービスを実行したりする場合の生産性です。例えば、1日に何個の商品を作れるか、作業で1日にどれだけの(作業)成果物を作れるかといった指標で、生産性というよりは「効率性」と呼ぶべき指標です。

これに対して、生産性は、「使える資源をすべて総合的に使って、どれだけ新しい価値を生み出せるか」を表わす指標です。ここで価値というのは、作業の成果物とは限らないことに注意してください。作業において作られたモノ(成果物)がどれだけその作業を含んでいる事業の目的に役立つかが価値です。

簡単にいえば、生産性とは、生産量ではなく、生産価値の指標なのです。ただし、生産量が生産価値になる製品やサービスもあることに注意が必要で、グローバルな事業展開をする場合には、開発途上の地域では量で価値を創り出すことができます。

このように考えてみると、広い意味では(1)〜(4)のすべてが生産性ですし、ナレッジワークにおける生産性は(2)や(4)だといってもいいと思います。


◆生産性の例

ちなみに、日本企業の生産性が低いことはさまざまな指標で周知されるようになってきましたが、少なくとも製造業においては(1)や(3)の意味での生産性は決して低くありません。低いのは(2)や(4)の意味での生産性です。これは、高度成長期に構築した生産の概念やその向上の方法が通用しなくなってきたことを意味しています。

例えば、家電を考えてみてください。ダイソンの掃除機が日本製の掃除機の倍くらいの価格で投入され、瞬く間に市場に定着しました。ちょっと乱暴な議論ですが、これは日本企業の倍の生産性を上げていることになります。

もう一つ例を挙げればサービス業です。日本では、働き方改革などと称して、米国の企業が進めてきたサービスの定型化(マニュアル化)を行い、効率性を高めていくという方法をとろうとしています。しかし、これでは日本独特の独創的できめ細やかなサービスは実現できませんし、米国でもサービスのイノベーションにおいてはサービスの独創性を重視した方向に進化していますし、そのためにダイバーシティーが重要だという認識が生まれています。

このように、生産性の向上として(2)や(4)が重視されつつあるのです。そして効率性はあまり問題になりません。


◆製造の生産性は考える意味がない

日本のサービス業でも古くから生産性向上を意識しているのになかなか成果の出ていない業界があります。IT業界です。IT業界における古い意味での生産性(効率性)はプログラムを作るスピードですが、ここはそんなに低くありません。現実に生産性を落としているのは、製品仕様を決めるスピードだったり、顧客用件を確定するスピードだったりします。

今後、AIのような形の自動化が行われると、IT業のプログラムを作るとか、製造業の生産設計をするといった業務はどんどん人間がかかわらなくなっていくと考えられます。その中で、生産性を決めるのは人間の行う部分で、価値の創造です。詳細な話は次回しますが、ここに取り組んでいくにはコンセプチュアルスキルが不可欠なのです。

(続く)

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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