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チームによるコンセプチュアル思考ではリーダーは「問いかけ」を行う。コンセプチュアル思考は、個人ができるだけでなく、チームとしてできる必要がある

第37話:チームによるコンセプチュアル思考(2017.10.26)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆本質を考える思考はチームの方が適している

PMstyleでは、「コンセプチュアルなチームを創る」という講座をやっています。この講座で掲げているコンセプチュアルなチームのイメージはこちらを参考にしてください。

【PMスタイル考】第126話:プロジェクトチームがコンセプチュアルであるとはどういうことか

この講座で、ある受講者から、本質を考える思考はチームの方が適しているのではないかという指摘がありました。

その通りです。


◆コンセプチュアル思考はチームとしてもできなくてはならない

コンセプチュアルスキルはもともと経営者のスキルとして位置付けられていたので個人の思考スキルのようなイメージがありますが、実はそうではありません。確かに、70年前には経営者が一人で様々なことを考えなくてはならなかった時代にはそうだったかもしれませんが、今は経営そのものをチームで行う時代です。

従って、コンセプチュアル思考は、個人ができるだけでなく、チームとしてできる必要があるのです。

そこで、コンセプチュアル思考をチームで行い、本質を共有するにはどうすればよいのかを考えてみましょう。


◆チームによるコンセプチュアル思考ではリーダーは「問いかけ」を行う

まず、ポイントになるのはまずは、リーダーです。リーダーの役割は、良いアイデアをだすことではありません。チームとしてよいアイデアが生まれてくるような環境づくりをすることがリーダーの役割です。

この役割を果たすための行動としては、適切な「問いかけ」をして、チームが一体化してアイデアを創り出していくようにすることが有効だということが一般的な認識になってきています。

リーダーが意識すべきことは、チームの思考の質を上げることです。これは、メンバーを刺激し、発想の可能性を高めることです。そのための「問いかけ」としては、
WHATやWHYなどがありますが、特にチームによる本質の追求や共有をするためには、WHYによる問いかけが有効です。本質の見極めのために、WHYが有効だからです。


◆チームによるコンセプチュアル思考の例

例えば、「壁を白いペンキで塗ってほしい」という顧客要求の本質をチームで考えたいとします。このとき、例えば

リーダー「お客さんは白いペンキだと言っているけど、壁の周辺は、古くなっていているので雰囲気を併せるためにオフホワイトくらいでいいだろう」

と切り出したとすると、確かにリーダーはコンセプチュアルな思考をしているのですが、これ以上、思考(議論)は広がりません。

これに対して、

リーダー「なぜ、お客さんは白いペンキだと言っているんだろう。」

とメンバーに問いかけると、ここから議論がコンセプチュアルに展開されていきます。

A「壁は面積が広く、目立つからじゃないでしょうか」
B「壁を真っ白にすると、汚れを目立たなくなっても、今度は白が目立ってしまって不自然になりそうですね」
A「そう思いますねえ。壁の周辺は古くなっているので、雰囲気が合わないんじゃないかな」
C「話を聞いている限りでは、お客さんの目的はバランスをとれた雰囲気にすることみたいだから、その方向で考えればいいんじゃないでしょうか」
B「例えば、白ではなく、オフホワイトにするとか」
C「壁以外も手を入れるという提案もありですね」
A「壁を洗っただけだとだめなんだろうか」
・・・


◆チームでコンセプチュアル思考をする意味

ここで重要なことは、顧客の要求の本質について複数の見解が出てきて、さらにその実現方法として多数のアイデアが出てくることです。個人で考えてもなかなか出て来ないような具体的な実現アイデアが出てくる可能性が大きくなるわけです。

このようなコンセプチュアル思考は、古くから経営者が行ってきたコンセプチュアルな思考とは異なる部分があります。

コンセプチュアル思考では5つの軸を考えて、概念の世界と形象の世界を行き来をします。詳しくはこちらをお読みください。

【コンセプチュアルスタイル考】第8話:コンセプチュアルスキルを分解する〜本質を見極めるための5つの思考軸

もっとも分かりやすいのは抽象と具象です。抽象的にものごとを考えて、それを具象化し、さらに抽象化する。この繰り返しで、どのような行動をとるかを決めていくわけですが、今の時代、様々な種類の事業を抱えている企業で、これを一人でできる経営者は少ないのではないかと思います。

経営がチームになってきたのは、経営者一人では特に具象的なな展開部分に対応できないという背景があります。ゆえに、具体的なことを知っている担当役員を作り、抽象と具象の行き来をできるようにしているわけです。

経営者の場合とは少し事情は違いますが、上の例にあるような顧客の要求の本質を見極める場合でも、抽象と具象の行き来をしないとならないことは同じで、特に具象の創造性が成果の創造性に直結します。

例えば、顧客の要求の本質が自然な風体にすることだったとすると、壁を洗うことで対応するというのは、顧客の念頭になかったとすると、顧客の期待を超えるという成果を上げることができるわけです。

このようなコンセプチュアルな思考展開はチームの方が適しています。ロジカルシンキングは個人でもチームと同じレベルでできても、コンセプチュアル思考は明らかにチームで行った方が質の高い結果が得られます。

その意味で、コンセプチュアル思考はチームの思考法だと考えてもよいでしょう。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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