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第33回 トラブルに対して本質的な問題を見極め、対応する(2019.02.12)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


☆これまでの記事

第31回 トラブル発生

第32回 本質的な問題

(第32回から続く)

コンセプトという概念の世界に戻り、再度、形象の世界で目標を実現する具体的方法を考える場合に、必ず出てくる問題が、どうやって具体的方法を評価するかです。もちろん、答えのない問題の解決策を考えているわけですから、直観的に仮説を立て、それを検証しながら前に進めていくという方法もあります。ただ、それだけでは実務的には効率が悪く、現実的にはなんらかの指標が必要になります。

その前に、システム構築からショッピングモールの活用といった変化をするわけですから、その際にどのような変化をするかをしっかりと位置付けておく必要があります。一般的にそのような変化の方向づけをすることを視点変更と呼びますが、その効果には以下のようなものがあります。

・問題解決につながる気づきを得る
・問題解決につながる有効な方法を過去の記憶から思い出す
・問題解決につながる有効な方法をひらめく
・新たな知見や新事実を発見できる
・よりよい選択が可能になる

このストーリーでは、プラットホームに対する選定は、コンセプトや目的から決めた目標を実現するという問題解決を行っているわけで、その問題解決に対して、視点変更をすることは創造的な問題解決につながる有効な方法を見つける助けになっていると考えられます。

ここで創造的だという意味を少し議論しておきたいと思います。創造的とはそんなに難しいことを言っているわけではありません。これまでは新しいこと、思いつかなかったこと、を考えるという意味です。創造性を生み出す方法には、下図のような4つの方法があります。

●創造的な解決策を生み出す視点
┌───────┬──────────────────────────┐
│1.発散と収束│・発散とは前提や制約を外し、自由にアイデアを出すこと│
│       │・収束とは選択肢を絞り、あるいはいくつかのアイデアを│
│       │ 組み合わせて意思決定すること           │
├───────┼──────────────────────────┤
│2.視点変更と│・逆発想とは逆の考え方をする、逆のやり方をすること │
│    逆発想│                          │
├───────┼──────────────────────────┤
│3.分割   │・既存の要素を分割し、一部を分離して用いること   │
├───────┼──────────────────────────┤
│4.結合   │・2つ以上のものを材料や手段として使ったり、関係づけ│
│       │ てみること                    │
└───────┴──────────────────────────┘

この中でもっともよく使われるのは発散と収束です。これは説明の必要もないくらい一般的ですね。ポストイットにアイデアを書いて、まとめていく方法だと考えてください。それ以外でもっともよく使われるのは視点変更と逆発想ではないかと思います。

視点変更の方法には、さまざまな方法がありますので、これについてストーリーを例にとりながら説明しておきます。

まずは注視点を変えたり、着眼点を変えることです。これは、人や現象、出来事など対象を見るときに注視点や着眼点を変えることですが、ストーリー1でコンセプトを着目しなおしたのは、まさに着眼点を変えていることになります。同じように、分析視点を変えたり、評価視点を変えると同様な効果が得られます。

次に、判断基準や評価基準を変えるという方法があります。ストーリー2でいえば、コンセプトとの整合というのは絶対的な評価ですが、これを相対的なSNSとの相性で評価しようとするのは相対的な評価で、評価基準の変更をしていることが分かります。

もう少し人間的な面からの視点変更というのも考えられます。たとえば

・自分の好き嫌いなどの態度を変える
・自分の価値観を変える

といったことが考えられます。ストーリー1において、営業の芦田は、自由度のためにシステム構築をしようとしていたのに、要求をシンプルにし、それに合わせてショッピングモールをプラットホームとして選ぼうとしました。これは価値観の変更であると同時に、おそらく態度の変更もしているものと思われます。

このように態度や価値観を変えることによって、問題解決のよりよい選択が可能になってくるわけです。

ただし、ここでポイントになるのは問題解決の方法だけではないことに注意をしておいてください。もう1度、問題解決の手順を整理しておきます。

まず、本質目標を達成するために取っている方法があります。これはプロジェクトマネジメント計画で表現されています。その実行中に問題事象が起こりました。ストーリー1では要件がまとまらないという問題です。コンセプトを背景にしてこの問題事象から起こっている問題を分析します。ストーリー2では「要求がコンセプトと整合しない」ことでした。

そこでコンセプトに戻り、その解決方法を考えるために視点変更をします。ストーリー2では、改めてコンセプトに整合するように、コンセプトとの整合という絶対的な評価から、SNSとの相性といった相対的な評価に変更するという視点変更をしました。それにより、「ショッピングモールで販売機能を提供する」という問題解決策を発案したわけです。

このようにトラブルにおけるコンセプチュアルな問題解決においては、常にコンセプトを踏まえて、概念の正解で考えることをよく覚えておいてください。

その結果、できることは、本質的な問題を見出し、解決することです。問題解決でよくやる失敗は、問題を裏返しした解決策をとってしまうことです。たとえば、ストーリー1のように要件が収束しないという問題現象が発生したとすると、単純に採用する要件数を少なくするという解決策を取ることがあります。これでは要件数が増える→要件数を減らすという裏返しの問題解決をしているにほかなりません。

そこで必要になるのが問題の本質を探すことであり、本質に対する創造的な問題解決法を考えることなのです。

◆終わりに
今回はプロジェクトがトラブルに陥ったときに、コンセプトに対して本質となる問題を見つけ出し、その問題に対して、創造的な問題解決を行う方法を説明しました。いよいよ、次号からは全体の最終編になります。テーマは、コンセプチュアル思考により統合的にプロジェクトをマネジメントすることです。プロジェクトマネジメントは統合マネジメントであることを改めて確認し、コンセプトを中心に統合マネジメントを行う方法について説明したいと思います。

(続く)


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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