◆エレベータテストステートメント
PMBOK(R)の立上げプロセスでは、プロジェクト憲章を作成するが、これは一言でいえば、プロジェクトビジョンを確立するプロセスである。
例えば、
・顧客からみた商品ビジョンはどのようなものか
・プロジェクトのスコープと制約にはどのようなものがあるか
・プロジェクトコミュニティに参加させるべき人は誰か
・チームはどのようなアプローチで商品を提供するか
などである。
このビジョンを固めるためのツールとして、商品ビジョンボックスとエレベータテストステートメントがある。
商品ビジョンボックスは、これから開発する商品の箱のデッサンを決めようというものである。
エレベーターテストとは、エレベーターに居合わせている間にいかに自分のアイデアを簡潔に伝えることができるか、という話し方の訓練方法である。
例えば、新しい企画などについて承認を得るための準備として、上司と乗り合わせたエレベータで目的の階に着くまでに企画のポイントを過不足なく伝えるという手法である。時間は、特に決められてはいない。
この手法を応用しているツールがエレベータテストステートメントである。社長やプロジェクト・スポンサーとエレベータに乗り合わせた時に2〜3分でプロジェクトのビジョンを力説できるようにプロジェクトの内容を文章にまとめておくものである。
商品開発のプロジェクトであれば、
1.商品名
2.顧客ニーズ、機会
3.ターゲット顧客
4.商品カテゴリ
5.重要な利点
6.魅力的な購買理由
7.主要な競合商品
8.主要な差別化
をもれなく盛り込んで文章にまとめる。
つまり、ターゲットとなる顧客や重要な利点、競争優位などを2〜3の文章にまとめ2分以内でプロジェクトビジョンを説明できるようにしたものである。
例えば、(7.)が抜けているが、次の文章は約1分である。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
PMstyle+セミナーは、プロジェクトマネジャーが適切な意思決定をするために、必要だけどおざなりにしがちな領域の知識の習得を目的としている公開セミナーです。(1.)(3.)(4.)(5.)
プロジェクトマネジメントでは、もちろんプロジェクトマネジメントの知識が必要ですが、これは全体の4割程度で、残りの6割は、戦略論、財務会計、マーケティング、原価管理、法律、ヒューマンスキルなどのプロジェクトマネジメント以外の領域の知識が必要です。(2.)
PMstyle+セミナーでは、プロジェクトマネジメントそのものの知識以外の、一般的なマネジメント知識を「カジュアル(気軽)」に習得してもらうため、1回3000円で「専門バカにならないためのマネジメント講座」を、土曜日午後に開催しています。
(6.)(8.)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
詳細内容は、こちら をご覧ください。
作成するために、結構時間がかかりますが、商品ビジョンボックスはイメージでビジョンを共有し、エレベータテストステートメントは文章(テキスト)でビジョンを共有することができますので、ぜひ、作成してください。
(1.)〜(8.)の内容で抜けているものがあれば、プロジェクトマネジャーだけではなく、チームメンバー全員で、それを補完しプロジェクトビジョンを完成させてください。
◆関連セミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルなプロジェクトマネジメントのポイント ◆7PDU's
日時・場所:【Zoom】2025年 02月 13日(木)9:30-17:30(9:20入室可)
【Zoomハーフ】2024年 12月 18日(水)13:00-17:00+3時間
【Zoomナイト】2025年 01月 22日(水)24日(金) 19:00-21:00+3時間
※Zoomによるオンライン開催です
※ナイトセミナーは、2日間です
※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_pm.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
※Youtube関連動画「コンセプチュアルスキルとは(前半)」「コンセプチュアルスキルで行動が変わる」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【カリキュラム】
1.VUCA時代に必要なコンセプチュアルなプロジェクトマネジメント
2.プロジェクトへの要求の本質を反映したコンセプトを創る
3.コンセプトを実現する目的と目標の決定
4.本質的な目標を優先する計画
5.プロジェクトマネジメント計画を活用した柔軟なプロジェクト運営
6.トラブルの本質を見極め、対応する
7.経験を活かしてプロジェクトを成功させる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。