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第28回 スリップ・チャート(2010.03.12)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆スリップ・チャート

スリップ・チャートは、スケジュール・コントロールのツールであり、特に傾向に注目することができ、複数のプロジェクト間の比較ができるツールです。

スリップとは、書店で売られている書籍やムックに挟まれている短冊のことです。

スリップは本を買う時に外され、書店ではそのスリップを集めることで、どの本が売れたかを判別しています。(現在はPOSレジへの移行が進み、使われることも少なくなりました。)

同様に、スリップ・チャートは、スケジュールの差異(遅れもしくは進み)をスリップで表し、そのスリップを合計することで、スケジュールの差異を表現しています。



進捗報告日に作業を行っているアクティビティについて、予定日から何日遅れているかを算出し、すべてのアクティビティの差異日数を集計することで、その進捗報告日の差異日数を算出します。

そして、横軸に時間(日もしくは週)をとり、縦軸に遅れや進みをとり、差異日数をグラフにプロットします。

次の進捗報告日には、横軸を1目盛、右にずらした位置に差異日数をプロットします。
このようにして、折れ線グラフを作成し、進んでいるのか、遅れているのかをについて作業をしているすべてのアクティビティの差異日数を集計することで、進捗状況を把握し、横軸を時間軸にすることで、進捗状況の傾向を見ることができます。

通常、スケジュール・コントロールプロセスの進捗報告では次の5点について判断して今後を予測し、対応策を決めていきます。

1.差異はどれくらいか
2.差異の原因は何か、対処は必要か
3.現在の傾向がそのまま続けば、予測される完了日はいつか
4.この後、どのようなリスクが発生しそうか、リスクの発生で完了日は遅れるのか
5.予測される完了日がベースライン通りであることを実現するためには、突発的な事象に対してどのような対処を取るべきか

これらの5点に対して、スリップ・チャートは、作成が容易であり、視覚的に簡単に判断でき、グラフによって情報を共有することができ、完了予測日の算出が容易である、という利点があります。


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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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