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第17回 WBS(1) (2009.07.05)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆WBS

今さらなのですが、WBSについてです。

WBSとはWork Breakdown Structureのことで、プロジェクトの目的達成に必要な作業を定義するためのツールであり、一言で言えば、プロジェクトのWhatをHowに変換する・分解していくツールです。

まず、プロジェクトの目的を達成するために、プロダクト、サービス、結果などの成果物を基点にして作成し、それらを分解していくことで、作業に落としていきます。

特徴として、
・作業範囲全体を定義する手段である
・段階的に分解することで、重複やモレを防ぐ →→ 100%ルール
・計画やコントロールを行ううえで適切な詳細レベルに分解することができる
・プロジェクトの全スコープが含まれている
 (WBSに含まれていないものはプロジェクトの範囲外である)
・ステークホルダー間のコミュニケーションを円滑にする
 (WBSでスコープを明確にすることで、その過程も含む)

などがあります。

重複やモレを防ぐために、次のような100%ルールがあります。

・プロジェクトで創出する成果物をすべて洗い出しているか
・WBSの1レベルの成果物でプロジェクトは完了するか
・2レベルの要素成果物をグループ化すると1レベルの成果物を構成することができるか
・2レベルの要素成果物が複数の1レベルの成果物に含まれていないか
・3レベルも同様 ...

WBSを作成した後には、上記の100%ルールを満たしているかどうかをチェックすることが重要です。

WBSは、1959年のPERT(Program Evaluation and Review Technique)の実装の論文の中に原型があるそうですが、WBSをツールとして使用しない場合は、プロジェクトの成果物が基点ではなく、外注委託先やリソースから計画を立案しています。
つまり、リソースをどのように使うかというインプットから作成していたわけです。

WBSでは、アウトプット(成果物)に着目して作成します。WBSの要素(項目)がアウトプットであり、それに対してリソースを割り振り、コスト算出や資源計画を作成します。

WBSの最下位レベルの項目(要素)をワーク・パッケージと呼び、ワーク・パッケージからアクティビティ(作業)を定義し、個人や組織に責任を割り振ります。

そして、スケジュールはアクティビティで計画しますが、それは各アクティビティの予測される期間、使用できるリソース、アクティビティの作業順序などを調整して、作成します。

WBSの例(ASPシステムの開発)

1.ASPシステム開発
 1.1 プロジェクトマネジメント
 1.2 システム
   1.2.1 全体設計
   1.2.2 システムインストール
   1.2.3 システムテスト
 1.3 Webプログラム
 1.4 商品データ
   1.4.1 自社商品
     1.4.1.1 自社商品画像データ
     1.4.1.2 自社商品紹介テキスト
   1.4.2 他社商品
     1.4.2.1 他社商品画像データ
     1.4.2.2 他社商品紹介テキスト
 1.5 ハードウェア
   1.5.1 PC
     1.5.1.1 調達
     1.5.1.2 セットアップ



なぜ、WBSにプロジェクトマネジメントが含まれているか、それは次回にします。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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