◆ポジティブ・フィードバック
フィードバックと言うと、何か悪い行動によってもたらされたよくない影響を2度と起こさないために、悪い行動を指摘することによって、次から気をつけてもらうために行う指導方法と思われていますが、それは、ネガティブ・フィードバックと呼ばれています。
ネガティブがあればポジティブもあるということで、今回はポジティブ・フィードバックについて、取り上げてみたいと思います。
ポジティブ・フィードバックは、一言で言えば、ほめることです。
日本人はほめるということが苦手な方が多く、それは、
1.問題だけを指摘すべき:指摘がなければよいという証拠だと考え勝ち
2.言葉は必要ない:心を通い合わせていれば、分かり合える「以心伝心」
3.完璧ではないものをほめたくない:完璧をめざし、努力するのは当たり前
4.ほめることは相手への軽視:ほめ言葉は女性や子供だけに使うべき
との理由から、ほめることに強い抵抗感を持っている方が多いようです。
しかし、アメリカではほめ言葉や感謝の言葉は「報酬」の一つだそうです。
給与、福利厚生は、金銭的な報酬であり、感謝の言葉は「心の報酬」だそうです。
ポジティブ・フィードバックは心の報酬であり、コストはまったくかかりませんが、金銭的な報酬より、強いインパクトを与えるかもしれないマネジメントツールです。
この不況下のもと、心の報酬を見直してみましょう。
感謝の気持ちを伝えるのは、メンバーの機嫌をとるのではなく、メンバーに影響力を与えたり、メンバーを動かすということにつながっていきます。
それでは、ポジティブ・フィードバックとは具体的にはどんなものでしょうか。
それは、相手の望ましい行動を認めて、感謝の気持ちを伝えることで、ほめることです。
が、事実に基づいて、行動をほめるということがポイントになってきます。
そして、できるだけ頻繁に行うことが望ましいとされていますので、うれしかったときは、簡単に口に出すようにしていきます。また、ネガティブ・フィードバックは通常、一人に対して行うものですが、ポジティブ・フィードバックは個人にもグループにもできます。
ただし、心から、誠実に行う場合のみ有効で、機械的や無理にこじつけてと言うのはかえって逆効果になってしまいます。
ポジティブ・フィードバックの方法は次のとおりです。
1.よい行動を指摘する:評価したい行動を具体的に、できるだけ詳細に指摘する
2.望ましい行動のよい結果を知らせる:具体的によい結果を知らせて、自身と達成感を感じてもらう
3.今後どんな行動をとってほしいか知らせる:よい行動とその結果についてインパクトを与え、自分がこれからも同じ行動をとってほしいことを知らせる
の3ステップで実施します。
フィードバックは、相手の行動に対して自分の意見を伝える指導法です。評論やエモーションではなく、指導ですので、より相手にインパクトがあるように、より具体的、より詳細に伝えていくことが重要になってきます。そして、考え方についての指導ではなく、行動についての指導ということがポイントにもなっています。
また、、ネガティブ・フィードバックについては次回にしますが、ネガティブ・フィードバックばかりですと叱ってばかりという印象が強くなりますので、その問題行動を直してもらうために、たまたま問題行動ではなく、望ましい行動をしたときにポジティブ・フィードバックを行うことでネガティブ・フィードバックの代わりにするということもできます。
例えば、報告がいつも遅れるメンバーの場合、期限どおり報告があったときに、ポジティブ・フィードバックで報告が遅くならずに期限どおりに行った、という望ましい行動を感謝することで、また、遅れないように行動するという決意をしてもらうことができます。
この例外の行動をポジティブ・フィードバックし、行動を正してもらうきっかけにするということも有効なのではないでしょうか。
多様性がプロジェクトチームにとって、必要なことですので、くれぐれも、考え方の指導ではなく(もちろん、これは必要なことでもありますが)、フィードバックは行動に対して自分の考え、感じたことを伝える指導方法ですので、ご注意ください。
それでは、次回はネガティブ・フィードバックを。
◆コミュニケーションのセミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
コンセプチュアル思考を活用したコミュニケーションの考え方と実践 ◆7PDU's
日時・場所:【Zoom】2024年 11月 07日(木)9:30-17:30(9:20入室可)
【Zoomハーフ】2024年 11月 27日(水)13:00-17:00+3時間
【Zoomナイト】2025年 02月05日(水)07日(金) 19:00-21:00+3時間
※Zoomによるオンライン開催です
※ナイトセミナーは2日間です
※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習3時間あります。
※少人数、双方向にて、個人ワーク、ディスカッションを行います
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_communication.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
※Youtube関連動画
「コンセプチュアルスキルとは」 「コンセプチュアルスキルで行動が変わる」
「上手な説明とは」「コンセプチュアルなコミュニケーション」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【カリキュラム】
1.コンセプチュアルスキルでコミュニケーションを改善する
2.説明を上手にする方法
3.コンセプチュアルスキルを活かした交渉術
4.ストーリーによって共感を得るコミュニケーション
5.(エクスサイズ)50人とコミュニケーションをする
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。