◆親和図法
PMの道具箱シリーズでは、現在、書籍「ゲームストーミング」について取り上げています。
「ゲームストーミング」(著:デイブ・グレイ他、出版:オライリー・ジャパン、監訳:野村恭彦、2011)
本号ではゲームストーミングの中の主要なゲームの1つであり、、ブレインストーミングなどで出てきた多くのアイデア分類するためのゲームである「親和図法」を取り上げます。
「親和図法」は、アイデアや情報を分類し、関連性によってグループ分けした結果、
・参加者の意見がどこに収集しているのか
・カテゴリのカテゴリは何か
・どの考えが優勢なのか
などを知りたいときに使用し、グループ分けは、情報やアイデアの関連性で行いますので、どのような思考パターンで行っているのかということや、新しい思考パターンを発見し、今までの古い思考パターンを打ち破ることもできるゲームです。
「親和図法」は、次のステップで進めます。
1.まず、アイデアや情報を回答してもらうための質問を前面のホワイトボードなどに記述します。絵や図なども描くことは、質問について、イメージしやすくなります。
2.10分程度、参加者に質問の回答を付箋に書いてもらいます。その際、参加者同士は、基本的に会話をしないようにします。
3.記入された付箋をテーブルの上などに集めます。そして、一人ずつ、前に出て、付箋を模造紙やホワイトボートなどに貼り付けていきます。関連性のあるものを列に並べるか、まとまりに(近くに)並べます。
アイデアが重複しても付箋を捨てずに、貼り付けることによって、集中しているポイントが見えてきます。
また、簡単に分類できそうもない付箋については、ホワイトボードの端に貼り付けておきます。
このステップでは、列やまとまりが分類となりますが、その上の分類については考慮しません。
4.全体の分類が終われば、次は、分類した付箋のカテゴリ名を決めます。このステップにはあまり時間をかけず、カテゴリ名が1つに決めきれない場合は、複数記入します。列で分類した場合は、列の上に、まとまりの場合は、そのまとまりの近くにカテゴリ名を記入します。
3.で、端に貼り付けた簡単に分類できそうもない付箋については、カテゴリ名からどこに分類されるのかを考え、どこにも入らない場合は、新しく、分類を作り、カテゴリ名をつけます。カテゴリ名が決まれば、上位のカテゴリに分類し、カテゴリ名をつける場合もあります。
この親和図法では、情報やアイデアが多く出ること、良い情報やアイデアが含まれていること、そして、上手く分類ができた時に、質問に対する多様な情報やアイデアが構造的に整理されて視覚化されることになります。
親和図法と似た手法として「KJ法」がありますが、KJ法では、付箋がカテゴリ化された段階で、カテゴリ名からそのカテゴリに分類される、まだ出てきていないアイデアや情報を考え、新しく付箋に書いて貼り出します。
質問に対する回答の付箋のカテゴリが構造的であればあるほど、視覚化されますのでカテゴリは、できるだけMECE(Mutually Exclusive
and Collectively Exhaustive、もれなくダブりなく)になるようにします。
そのため、カテゴリやアイデア、情報を考えるためのカテゴリ名は重要であり、少なすぎるカテゴリ数やあまり多くのカテゴリがある場合は、その数の整理なども行うことがポイントとなります。
そのためには、ファシリテーター(親和図法を進めているグループのや全体のリーダー)は具体的なアイデアや情報からそれらをカテゴリ名としてまとめる力(抽象化)、カテゴリ名から新しい情報、アイデアを引き出す力(具象化)、そして、それらを引き出すための質問のおける視点を考える力(質問力、洞察力)が重要になってきます。
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鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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