第37回 相手はメリットがあるから相手をしてくれている(2020.12.15)
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◆相手はメリットがあるから相手をしてくれている
先日、ある研究会で発表資料を作成し、専門家の方に資料のレビューをお願いする場面がありました。
4月にその専門家の方に、オンライン会議にてお会いさせていただき、
・研究会ではこの技術(専門家の著書の内容)に関して研究を重ねていること
・11月にその研究結果発表のセミナーを行うこと
・著作から文言などを抜粋させていただくことへの許可
などをお願いし、協力の快諾をいただきました。
その後、コロナの影響から11月にセミナーを開催することができず、来年1月の開催が決まりました。1月の開催ですと、印刷等のために12月中旬には資料を完成する必要がありますので、11月末に12月初旬から資料レビューを1週間でお願いするメールを送付し、12月上旬に実際に資料を送付したのです。
ステークホルダーマネジメントとして、あまり喜ばしい進め方ではないと思うのですが、どこがまずかったのでしょうか?
・なぜ専門家の方は快諾されたのか←それにより渡すカレンシーが異なります
※相手の世界を全く理解していません
・4月に快諾をいただいた後に、経緯を全く連絡せずに、いきなり1月開催だから、12月初旬から1週間のレビューをお願いしたこと
※やはり、経緯は時々お知らせする方が、信頼関係は高まります
・専門家に12月初旬のスケジュールの都合を聞いていない
※自分の都合だけでスケジュールを決めています
※相手はなぜそのスケジュールを了承すると考えたのでしょうか?
・専門家は1度会っただけの人の研究会の資料をレビューすることで何のメリットがあるのか?
←←そのメリットがカレンシーになるのです
・専門家はその技術応用にて利益が発生する場合は、別人に著作権の支払いをしている
※著作権支払については4月に説明している
※1月のセミナーが有料かどうかを全く知らせていない
※聞かれなければ、とぼけるつもりだったのか
※信頼関係も何もあったものではありません
影響力の法則(R)とは、次の6つのステップでステークホルダーとの関係を構築し、権限のないところで相手に影響力を発揮し、相手を動かす法則です。
法則1:味方になると考える
法則2:目標を明確にする
法則3:相手の世界を理解する
法則4:カレンシーを見つける
法則5:関係に配慮する
法則6:目的を見失わない
カレンシーは相手にとってのメリットです。それが何かを想像し、何かお願いする場合には、必ず、カレンシーを渡しましょう。そして、カレンシーは蓄積されます。
皆さんも、相手から何かお願いされた場合にメリットがあるから、応じているのではないでしょうか。相手のことが好きだから、全くメリットがなくても、応じる場合もありますが。
相手と信頼関係があれば、その信頼関係を続けていくこともメリットの一つです。
◆参考文献
「影響力の法則─現代組織を生き抜くバイブル」税務経理協会 著:アラン R.コーエン、デビッド L.ブラッドフォード
訳:高嶋成豪、高嶋 薫
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講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
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著者紹介
鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。
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