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第30回 コンテキストを共有する(3)(2020.01.28)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆コンテキストを共有する(3)

現在、コミュニケーションマネジメントのセミナーにおいて、ベンジャミンのコミュニケーションモデルを扱っています。このモデルには、コミュニケーションに必要なものとして、構成要素の6要素とプロセスの3要素の合わせて9要素があります。

〇構成要素の6要素
・送り手:メッセージを発信する人
・受け手:メッセージを受信する人
・メッセージ:送り手による概念化の成果
・チャネル:メッセージを送るための媒体
・ノイズ:コミュニケーションを妨害するもの
・文脈(コンテキスト):コミュニケーションが行われる際の物理的、社会的、心理的、文化的状況

〇プロセスの3要素
・記号化:考えをメッセージに翻訳する
・解読:受け取ったメッセージを翻訳する
・フィードバック:受け手から送り手への反応

そして、この中で最も重要な要素としてコンテキストを挙げています。送り手が送ったメッセージをいかに正しく記号化し、記号化したメッセージをチャネルに乗せて正しく送信し、受け手が受けたメッセージをいかに正しく解読しても、コンテキストが共有できていないと、記号化、解読に大きなノイズが発生し、異なった意味でメッセージをとらえてしまうからです。

モデルではコンテキストを、コミュニケーションが行われる際の物理的、社会的、心理的、文化的状況と説明し、他の8要素を大きく包含するものとして捉えています。詳細は下記のコラムをご覧ください。

 プロジェクトのリーダーシップとコミュニケーション
   第10回 ベンジャミンのコミュニケーションモデル

物理的というのは、距離が離れている、メールや電話を受ける環境であり、社会的というのは言動、思考、意図が理解できる環境であり、心理的とは心の動きであり、どんな心理的状況なのか、みんながあることを受け入れる、賛成する雰囲気なのか、みんなが現在、どんな喜怒哀楽なのかであり、文化的とは、例えば、先進国なのか発展途上国なのか、肉食なのか草食なのかなどの文化・土壌です。

例えば、次のようなことが考えられます。
物理的:パソコンとスマホでスカイブ会議をしていると、誤解が生じる場合がある
社会的:幼稚園の先生に道を尋ねると、凄く丁寧に教えてくれるけど、まどろこしいと感じる大学の教授
心理的:消費税が増税になった10月1日に、先月に購入した高価な車をいかに安く買ったのかをとうとうと説明する
文化的:相手が言ったことに対して常に否定で返す文化なのか、それとも、まず、共感し、次にそこから意見を広げていく文化なのかどうか。

では、ステークホルダーマネジメントは何のために行うのかと言うと、プロジェクトや業務を成功させるために、関係者にできるだけ、参画し協力してもらえるように信頼関係を作るために行っています。もちろん、相手もプロジェクトや業務が成功するのはメリットがあるはずですので、なんでこちらだけがマネジメントしないといけないのか、相手も歩み寄れよ、と思われるかもしれませんが、相手から歩み寄るのを待っていては、プロジェクトが終わってしまいます。

こちらから歩み寄りましょう〜

つまり、コミュニケーションがスムーズにできるため、相手と信頼関係を作るため、相手の世界を理解するために、コンテキストの共有を考えましょう。コンテキストが共有されている状況は、お互いが相手を理解している状況と言えます。少なくとも、こちらが相手を理解している状況です。

◆関連するセミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「影響力の法則(R)」を活かすステークホルダーマネジメントの実践◆7PDU's
  日時・場所:【Zoom】2025年 02月 18日(火)9:30-17:30(9:20入室可)
      【Zoomハーフ】2025年 01月 08日(水 )13:00-17:00+3時間
     【Zoomナイト】2025年 01月 29日(水)31日(金) 19:00-21:00+3時間
       ※Zoomによるオンライン開催です
       ※ナイトセミナーは、2日間です
       ※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
       ※少人数、双方向にて、ディスカッション、ロールプレイを行います
  講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/influence20.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
  ※Youtube動画「ステークホルダーマネジメント
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【カリキュラム】
1.ステークホルダーマネジメントとは何か
2.ステークホルダーの特定・プロジェクトのパラメータ
 ・(演習2)ステークホルダーリスト
3.影響力の法則(R)
 ・(演習3)カレンシーを考える
4.概念的に考えて具体的に行動する
 ・コンセプチュアルスキルとは
 ・本質を見極める
 ・洞察力を高める
5.ステークホルダーと良い関係を作る・WinWinの関係
 ・(演習5)期待と要求のロールプレイ
6.まとめ
 ・(演習6)カレンシーを再考する
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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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