本文へスキップ

イノベーション実践、コンセプチュアルスキル、プログラムマネジメント、プロジェクトマネジメント、PMOについての最先端の情報、研修、セミナー、コンサルティングをお届けします。

第27回 コンテキストを共有する(2019.09.17)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代

◆コンテキストを共有する

ある時期、ある企業のPMOへの支援として、プロジェクトマネジャーのヒアリングを行いました。プロジェクトマネジャーがどのようにプロジェクトマネジメントを行っているのか、PMOに対して何を求めているのか、についてです。

事前にヒアリング項目をお知らせし、十数人の方から1時間程度お話を聞きました。大規模プロジェクト、小規模プロジェクト、対象業種など担当が様々なプロジェクトマネジャーから、うまくいったプロジェクト、困っていること、感じていること、上位層に支援してほしいこと、などを質問を交えながら聞きました。
そこで、私が感じたことは、話をうまく相手(私達)に伝えることができるプロジェクトマネジャーは、成功しているプロジェクトが多い、ということです。

とんでもなく、現在のプロジェクトがトラブルに陥っているほとんどの方は、話がこちら(私達)に全く伝わってくることがないのです。

なぜだろう、と考えたのですが、相手の理解を考慮せず、状況の説明に終始し、自分が伝えたいことだけを話しているから、のようでした。

ヒアリングをさせていただいていますので、伝えたいことだけを話していただければ十分なのですが、どうせなら、私達がより理解できる方が、どう考えてもいいはずです。
それで、理解するために、その状況の背景などを質問するのですが、その返答によって、より理解できなくなる、という羽目になったため、あまり質問をせず、ヒアリング項目に沿って、話していただきました。結局、状況の詳細説明に終わり、プロジェクトの目的、今のトラブルの原因、このままであれば、発生する問題などについての話はありませんでした。

想像するに、プロセスに沿って、業務を進めているけれど、問題が多々発生しているような状況でした。私達への話でも、説明をするためには、相手に何を伝えれば理解しやすいのか、という点が抜けていましたので、常にコミュニケーションにおいて、その視点が抜けているため、相手にうまく伝わっていない、下手すると誤解や怒りを生んでいるのではないのか、と思われました。

それでは、何を伝えれば、相手が理解しやすいのでしょうか?

コミュニケーションには、コミュニケーションのモデルがあります。そのモデルによると、文脈(コンテキスト)がコミュニケーションの優劣を左右すると言われています。
コンテキストとは、コミュニケーションが行われる際の物理的、社会的、心理的、文化的状況のことです。

物理的:どこでどんな手段でコミュニケーションするのかなど
社会的:立場や職位など
心理的:今の心理状況、ここ数日の心理状況、何を感じているのかなど
文化的:言語、思考法などの文化、状況の背景など

コミュニケーションモデルについては、下記のコラムをご参照ください。

 プロジェクトのリーダーシップとコミュニケーション
   第10回 ベンジャミンのコミュニケーションモデル

反対に、とても話が良くわかるプロジェクトマネジャーの方がいらっしゃいました。女性の方で、経験は少ないのですが、プロジェクトの概要や顧客企業の状況をコンパクトに話され、ヒアリング項目についても、ご自分の意見を述べられて、その内容もこちらが理解しやすいように、粗く説明される部分と詳細に語る部分があり、何を伝えれば良いのか、という本質を理解され、それに沿ってお話されていました。

やはり、予算もそれほど潤沢ではないプロジェクトであるにもかかわらず、顧客と一緒に問題解決を進め、プロジェクトをうまく進めておられるようでした。ひとあたりも良いので、上手に回りを巻き込んでいるような雰囲気を感じました。

プロジェクトや業務においては、相手がいますので、何をおいても、その人と、いい関係を作る、話(本質)を伝える、コンテキストを共有することが重要のようです。

◆関連するセミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「影響力の法則(R)」を活かすステークホルダーマネジメントの実践◆7PDU's
  日時・場所:【Zoom】2024年 05月 09日(木)9:30-17:30(9:20入室可)
      【Zoomハーフ】2024年 06月 12日(水)13:00-17:00+3時間
     【Zoomナイト】2024年 04月 10日(水)12日(金) 19:00-21:00+3時間
       ※Zoomによるオンライン開催です
       ※ナイトセミナーは、2日間です
       ※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
       ※少人数、双方向にて、ディスカッション、ロールプレイを行います
  講師:鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/influence20.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
  ※Youtube動画「ステークホルダーマネジメント
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【カリキュラム】
1.ステークホルダーマネジメントとは何か
2.ステークホルダーの特定・プロジェクトのパラメータ
 ・(演習2)ステークホルダーリスト
3.影響力の法則(R)
 ・(演習3)カレンシーを考える
4.概念的に考えて具体的に行動する
 ・コンセプチュアルスキルとは
 ・本質を見極める
 ・洞察力を高める
5.ステークホルダーと良い関係を作る・WinWinの関係
 ・(演習5)期待と要求のロールプレイ
6.まとめ
 ・(演習6)カレンシーを再考する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

メルマガ紹介

本連載は、PM養成マガジン購読にて、最新記事を読むことができます。

Youtube始めました。チャンネル登録お願いします。PMstylebiz

書籍プレゼントはこちらから

お薦めする書籍

メルマガ購読

ブログ

公開セミナー(カテゴリー別)
日付順  カレンダー

お客様の声(掲載をご許可いただいた受講者の方のアンケート結果)

PMコンピテンシーとは

サイト内検索

Facebook

Facebook

Twitter