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第22回 相手の懐に飛び込む(2019.06.07)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代

◆相手の懐に飛び込む

ある「ベンダーマネジメント」セミナーでの話です。

セミナーでは、対立(コンフリクト)解消を取り扱っていて、相手と自分の成果を大きく考えるのか小さく考えるのかによって、解消方法が5つに分かれます。

┌──────────┬─────┬─────┐
│解消方法      │相手の成果│自分の成果│
├──────────┼─────┼─────┤
│回避:今は何もしない│  小  │  小  │
├──────────┼─────┼─────┤
│妥協:適度の妥協  │  中  │  中  │
├──────────┼─────┼─────┤
│恩恵:自分が弱い時 │  大  │  小  │
├──────────┼─────┼─────┤
│支配:自分が強い時 │  小  │  大  │
├──────────┼─────┼─────┤
│統合:WinWinの関係 │  大  │  大  │
└──────────┴─────┴─────┘

回避は、とりあえず、解決を延ばす手法ですが、妥協、恩恵、支配は、目の前の問題に対して、どちらが勝つか負けるかの戦いであり、どちらの立場が強いかによって、主張するポイントが相手に受け入れられるかどうかが決まる手法であり、相手と自分の立場がどれだけ、どちらが強いかによって、また、どれだけその問題が大切かによって決定することが多いようです。

そして、勝ち負けによって、手に入れるものの総計(相手と自分の成果を足したもの)には、その交渉によって、成果の大きさが変わることはほとんどありません。つまり、目の前にある成果を相手と自分で分ける対立を解消する手法です。

そのために、自分の事情やウィークポイントは隠し、相手の事情やウィークポイントをできるだけ探り、相手のウィークポイントをほじくり返し、また、自分がどれだけ正しいのかを主張し、できるだけ目の前の成果を自分がぶんどろうと頑張ります。

一緒に何かを創りあげていく関係であれば、そのようなことをすることによって、相手との信頼関係はくずれてしまいます。やられた〜と思った瞬間に、次は勝つぞ!とか、あいつは食わせ者だ、とか思ってしまいます。
一緒に仕事をする仲間なのであれば、(たとえ別会社の人、顧客、子会社の社員であっても)そんな風に思ってほしくはないはずです。

例えば、恩恵という手法は、相手が親会社など強い立場である場合、相手の成果が大きくなるような解決策をとり、相手に勝ったと思ってもらい、いい気持ちになってもらい、次は、譲ろうかなと思ってもらうための方法です。
通常、人間は、勝った場合、いい気持ちになりますし、負けた場合、悔しくなり、相手のことを恨みます。

そうしますと、自分も相手も両者がそれぞれ勝ったと思うことができれば、両者がいい気持ちになり、これからも相手に協力しようと思うはずです。
その交渉方法が、統合型交渉であり、WinWinの関係であり、相手も成果も自分の成果も大きくする対立の解消方法です。

現実には、目の前には100%の成果しかありませんので、それを分けると、50%と50%でも、相手に負けたと思ってしまいます。ですので、成果を100%以上のものにすることによって、両者が勝てるのです。
そのためには、目の前の成果だけを見るのではなく、プロジェクトの目的・目標や、今、相手と自分の両者で上げなければならない成果が何なのかを考えて、そこから、今すべきことを考えます。

と、ここまで説明しましたところ、ある受講者さんが、

「今、システムの入れ替えをしていて、その後の保守費用の交渉で、頓挫しています。とんでもない金額をベンダさんが言ってきて、きちんとシステムを動かすためにはこの費用が必要、の一点張り。別の営業さんが来ても同じことを言うので、交渉は進みませんでした。」
「ところが、3人目の営業さんのひと言めが、「僕は○○会社さんが大好きで、良く食事に行きます。とても美味しいので、子供たちも喜んでいます。」であり、しばらく、お店のメニューの話が弾み、身構えていたのに、すっかり、その人となじんでしまいました。
そして、「大好きな○○会社さんのシステムが順調に動くように、」と費用の話に入り、真剣に話を聞くことができました。もちろん営業トークだとは思うのですが、その人の言うことであれば、信じることができました。」

と言われました。

つまり、お互いが納得する交渉をするためには、信頼関係がなければ、まず、話をすることすらできないのです。

そのために、相手の懐に飛び込む(距離を縮める)ことが重要であり、影響力の法則(R)の第1ステップの「相手は味方になる」と考えることが重要ですね。

また、統合型交渉では、次がポイントとなります。

・情報の自由な流れを確保する
・相手の真のニーズと目的の理解に努める
・両者の共通点を重視し、違いを最小限にする
・双方のニーズと目標に合致する解決策を探る

特に、違いにこだわるのではなく、両者の共通点を探すことによって、両者が納得する解決策を探すことができます。

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  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/influence20.htm
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【カリキュラム】
1.ステークホルダーマネジメントとは何か
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2.ステークホルダーの特定・プロジェクトのパラメータ
 ・ステークホルダー・マトリクス
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 ・ステークホルダー・マネジメント戦略
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3.影響力の法則(R) ・影響力とは何か?
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 ・ステークホルダーの目標を把握し、カレンシーを計画するステップを学ぶ
 ・(演習3)カレンシーを考える
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 ・本質を見極める
 ・洞察力を高める
5.ステークホルダーと良い関係を作る・WinWinの関係
 ・信頼を得る
 ・チームを結束させる
 ・(演習5)期待と要求のロールプレイ
6.まとめ
 ・(演習6)カレンシーを再考する
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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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