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第7回 プロジェクト目標マネジメント(QCDSのD)(2012.12.21)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木 道代


◆プロジェクト目標マネジメント(QCDSのD)

「P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)早わかり」の7回目です。
前回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDS(品質、コスト、タイム、スコープ)のマネジメントのスコープ(S)について、PMBOK(R)と比較しながら、書きました。
今回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDS(品質、コスト、タイム、スコープ)の『D』タイムマネジメントについて、PMBOK(R)と比較しながらみてみます。

タイムマネジメントは、プロジェクトの目標を達成するため、時間の制約条件の中で最適化し、プロジェクト遂行方針を実現するための業務プロセスです。

定義されたスコープを時間軸に展開していきますので、他のマネジメントプロセスと密接な関係を持ち、特にコストマネジメントとは直接的な相関があります。
例えば、スケジュールを短縮するために、「資源(人)を増やす、高価格で資材や成果物を発注し、納期を短縮する」などです。

そして、スケジュールの計画は、以下の点に留意して作成する必要があります。

・プロジェクトの目標(時間に対する)を達成するための遂行方針
・プロジェクトの進捗を追跡する仕組み・方法
・計画に対して実績(進捗)を監視し、評価を行う方法
・将来予測と是正策の検討・策定・実施手順
・実績の集約と分析、将来への改善案の設定手順

上記の留意点は、PMBOK(R)では、スケジュール・マネジメント計画書に慨する部分となっています。
PMBOK(R)では、スケジュール・マネジメント計画書を作成するプロセスは、特にマネジメントプロセスが定義されてはいませんが、統合知識エリアの計画プロセスである「プロジェクト・マネジメント計画書作成」プロセスでスケジュール・マネジメント計画書も作成すると定義しています。

そして、スケジュール・マネジメント計画書では
・スケジューリング方法論、
・スケジューリング・ツールの選択とフォーマットの設定
・プロジェクト・スケジュール作成とコントロールのためのフォーマットの設定
・基準の設定
・プロジェクト・タイム・マネジメントのプロセスおよびこれに関連するツールと技法の文書化

などを記載すると書いています。

PMBOK(R)では、リスク知識エリアにおいて、「リスク・マネジメント計画」でマネジメントの方針や実施するプロセスを定義するプロセスがありますが、他の知識エリアでは、「プロジェクト・マネジメント計画書作成」の部分にまとめられています。
ちなみに、第3版では、「スコープ計画(スコープのマネジメント方針を決める)」プロセスがありましたが、第4版では削除されています。

マネジメントの方針などを決定すべきことを明確に記載している点において、P2Mは、大いに参考になります。

そして、タイムマネジメントの実施手順は、
・スケジュール方針の策定
・コントロール対象の定義付け
・遂行要領の設定
・スケジュール計画
・進捗計画
・スケジュールリスクの特定
・ネットワーク手法
・監視、測定、分析、予測

です。
この手順については、PMBOK(R)でも同様な内容がマネジメントプロセスとして明確に定義され、その順番を示しています。

最後に、プロジェクトを遅延させる3つの要因として、

・学生症候群:ぎりぎりまで着手しない
・早期終了の非伝搬性:早く終わっても次行程の着手に反映されない
・マルチタスク(掛け持ち作業):複数のタスクを掛け持ちするため、リードタイム
 が長期化

があり、その解決策とて、クリティカルチェーン法(PMBOK(R)第4版にも定義されています)を紹介しています。

次回は、プロジェクト目標マネジメントのQCDSの『C』のマネジメントについて、PMBOK(R)と比較しながら解説を進めていきます。

コストマネジメントは、PMBOK(R)と大きく異なる部分がありますので、お楽しみに。

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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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