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効率性はある作業の労力や時間、資源をどれだけ小さくできるかを示す指標、生産性は、使える資源をすべて総合的に使って、どれだけ新しい価値を生み出せるかを表わす指標。プロジェクトの生産性を向上させるためには、コンセプチュアルスキルが必須

第132話:生産性と効率性(2018/03/12)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆生産性と効率性

プロジェクトにおいても生産性向上を課題にするような話をよく耳にするようになった。ところが、プロジェクトマネジャーと話をしていると、意外と生産性とは何かということが理解されていないと感じることが多い。

特に多いのが、生産性と効率性の区別のついていないケースだ。実はこの違いは、プロジェクトマネジメントにとっては本質的なものである。そこで、まず、効率性と生産性の違いについて明確にしておこう。

効率性はある作業の労力や時間、資源をどれだけ小さくすることができるかを示す指標だ。例えば、1日に何個の商品を作れるか、プロジェクトで1日にどれだけの(作業)成果物を作れるかは効率性である。

これに対して、生産性は、使える資源をすべて総合的に使って、どれだけ新しい価値を生み出せるかを表わす指標である。ここで価値というのは、プロジェクトの成果物とは限らないことに注意してほしい。プロジェクトにおいて作られた成果物がどれだけプロジェクトの目的に役立つかが価値である。プロジェクトの最終的な成果だといってもよい。


◆ちょっと脱線、、、価値と利益

話がそれるが、付加価値は価値の一つであり、利益はまた別ものである。

付加価値は、売上げから社外への支払いを除いたもので、その中に利益が含まれている。利益以外に、給与や税金、金利などから構成されている。従って、売上げが変わらなくても、給与を下げれば利益は大きくなるが、付加価値は変わらない。今、日本企業の景気がいいのは売上げは伸びない中で賃金を圧縮している故である企業も少なくない。

付加価値を高めるには、市場を大きくし、売上げを大きくする方法が一般的だ。別の方法として、提供する価値そのものを拡大するという方法がある。簡単にいえば、製品やサービスの機能を上げ、販売価格を高くし、売上げを拡大するということだ。

この点も理解しておいてほしい。


◆売れなければ生産性は上がらない

話をもとに戻すが、生産性と効率性は上記のようなものであるので、売れようが売れまいが、効率よく成果物を作れば効率性は上がる。しかし、売れなければ生産性は上がらない。極論すれば、不良品をどんどん作っていても効率性は上がることがあるが、生産性は上がらない。生産性がないものを無駄と呼ぶ。

ここで、誤解しやすいのは誰の価値かという問題だ。例えば、顧客のためにシステムを構築するビジネスでよく起こっていることで、プロジェクトの制約条件を満たすために価値を減らしているケースがある。効率性のためには有効なアプローチだ。そして、提供者にとっては価値が生まれる。

しかし、顧客にとっては価値がないことだ。従って、新しい注文は取れないだろう(論理的には)。

システムに限らず、製品開発においても同様に提供者側の手間の削減のために、自分たちの価値で生産性を考えていることは少なくない。これが売れない製品を生み出している。

プロジェクトスポンサーや組織マネジャーにはこの違いを理解せず、生産性を上げるために、効率性を上げること、代表的にはコストを削減することを求めるだけの人がいるが、後で述べるようにこれは間違いだ。


◆生産性を上げるには

では、どのようにプロジェクトで効率性や生産性を向上していけばいいのだろうか。

効率性についてはそんなに難しくない。作業計画で無駄をなくすような計画を作り、進捗管理を厳しくすればよい。これについてはかなりできているように思う。

問題は生産性を向上させる方法だが、これは価値創造の議論が絡んでくるので、少しややこしい。一言でいえば、プロジェクトの付加価値を向上させるための目的の設定、目標設定が問題になる。

にもかかわらず、ここにコストを絡めて、コストダウンをして、利益率を上げると十分だと考えている人が少なくないのだ。


◆生産性を上げるのはプロジェクトスポンサーの仕事

本来、この価値をデザインするのはプロジェクトスポンサーの仕事である。

にも拘わらず、プロジェクトスポンサーがプロジェクトマネジャーに丸投げしているケースが実に多い。すると、プロジェクトマネジャーは効率性に責任を持たなくてはならないので、失敗しないような価値のデザインしかせず、イノベーションも起こらなけば、生産性も向上しないというプロジェクトを実施することになる。

これを防ぐためには、プロジェクト計画と作業計画を明確に分け、プロジェクト計画(企画)にもっと時間をかけるべきである。

言い換えると、プロジェクトの生産性を向上させるためには、コンセプト構想力のようなコンセプチュアルスキルが必須であるといえる。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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