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第107話:共有について考える(2015/11/10)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆共有の目的

よいチームはコミットメントの共有から生まれるといいます。共有するとはどういうことか。今回のサプリはこの問題を考えてみたいと思います。

まず、共有の目的ですが、これはいろいろな議論があると思いますが、最終的にはメンバーの一人一人が経営者と同じ目線で動いているようにすることに尽きるように思います。

もちろん、経営者と管理者、リーダー、担当者はそれぞれ別の役割を果たしているわけですので同じものを見ているわけではありませんが、だからこそ自分たちの担当する範囲を経営者と同じ目線で見ることが大切なのです。


◆情報の共有

共有の中で常に言われるのは「情報共有」です。これは、目的の共有、計画の共有、結果の共有、計画を実行するために必要な情報などの共有が該当すると思われます。

まず、目的の共有ですが、プロジェクトや仕事には必ず目的があります。この目的をメンバー全員が共有して動くことができるようにする必要があります。そのためには、個人の想いをサポートするとともに、チームとしての目的を話し合い、明確にしておく必要があります。

次に、計画の共有です。計画を共有していることはプロジェクトやチームでは生産性を向上させるために不可欠です。そのためには、メンバーの一人一人が計画を自分の判断で実行できるところまでの詳細化し、共有しておく必要があります。

三番目は結果の共有です。結果を共有することは、プロジェクトやチームがやりがいを持って仕事を進めていくためには不可欠ですが、意外と共有されていません。仕事の結果を共有し、モチベーションを高めながら仕事を進めていくように留意しておく必要があります。その際に、成果物だけはなく、目的に対する現在の結果をきちんと評価しておくといいでしょう。

最後は、結果を出すために必要な諸般の情報です。人脈情報、環境情報などが該当しますが、これらの情報もできれば共有しておくべきです。


◆コミットメントの共有

以上のようなものが情報共有の基本になりますが、ただ、情報共有だけではよいチームを作るには不十分で、コミットメントの共有が必要だと言われます。上に述べた共有の目的もやはり、コミットメントの共有をイメージしたものです。

コミットメントとは、一般的には「責任を持って関わること」ですが、マネジメントやリーダーシップの文脈では「仕事に対してやりがいを与えるもの」を含めて考えることがあります。コミットメントを後者だと考えると、コミットメントを共有するとはどういうことなのでしょうか?

そのためには、上記の共有に加えて、ストーリーの共有、価値観の共有、リーダーシップの共有などが必要になってくると思われます。


◆ストーリーの共有

まず、ストーリーの共有ですが、これは、何のために、誰のためにその仕事をするのか、何があなたを突き動かしているのか、あなたはどこに向かおうをしているのかといった仕事をの属性をストーリーに仕立て、共有することです。

それによって、周囲の人たちをストーリーに巻き込んでいくわけです。これがコミットメントを共有するためにもっとも重要な要素だと思われます。


◆価値観の共有

次に価値観の共有です。その仕事に関する価値観を共有し、全員に浸透させていく必要があります。

ここで注意したいのは、仕事の価値観をあなたの価値観を混同しないことです。人の価値観はそんなに強固なものではなく、この仕事にはこういう価値観があるがやってみようといったこともあるからです。


◆リーダーシップの共有

最後はリーダーシップの共有です。チームメンバーが指示を待っている間はコミットメントを共有したいとは言い難い部分があります。

やはり、それぞれのメンバーがリーダーとしての視点を持ち、動いたときにはじめてコミットメントが実現されるといってよいでしょう。そのために必要な共有がリーダーシップの共有です。


◆経営者との意識の共有

このような共有が実現されたときに、初めてコミットメントの共有ができると思われますが、もう一つ重要な要素があります。そうです、「経営者としての意識の共有」をすることです。これがなくては、経営の当事者として仕事のコミットすることはできません。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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