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第102話:モノづくりからコトづくりへ(2015/06/25)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆モノづくりから、コトづくりへ

よくモノづくりから、コトづくりへと言われます。モノづくりとコトづくりはどう違うのでしょうか。

イメージ的にはモノづくりは製造業がこれまでやってきたことで、コトづくりはモノを使った付加価値づくりで、たとえばソリューションサービスのようなイメージがありますし、さらにいえばアップルに代表されるようにブランディングのようなイメージにもつながってきます。今回のPMスタイル考はこの問題を取り上げてみたいと思います。

モノづくりからコトづくりが頻繁に言われるようになってきたのは、おそらくアップルがiPod(携帯オーディオ)の展開を始めてからだと思われます。携帯オーディオではそれまではソニーのウォークマンの独壇場で、デジタル化にも早々に対応し、独壇場は続くと考えられてきました。

ところが、iPodをつくったスティーブ・ジョブズはiPodは単に携帯用オーディオとしてiPodを提供するだけなく、iTuneという仕組みを作り、音楽をオンラインで1曲ごとに購入できるサービスを展開しました。それまではCDを購入して、録音していたことを考えると、大変な付加価値を提供したわけで、まさにコトづくりをやってのけたわけです。

このあたりから、ハードウエアは入れ物で、ソフトウエアで競争するという方向に大きく変わってきました。ただし、ハードウエアはコトづくりの対象から完全に外れたかというとそうでもありません。この点については、あとでお話します。

表面的には、モノづくりからコトづくりへということで、ハードウエア作りからソフトウエア作りに代わったわけですが、この話はもう少し奥があります。そこを考えてみたいと思います。


◆そもそも、コトとは何か

この議論のキーワードは間違えなく、コトなのですが、そもそもコトとはなんでしょうか?デジタル大辞泉によるとコトの説明として以下のような説明がされています。

「もの」が一般に具象性をもつのに対して、思考・意識の対象となるものや、現象・行為・性質など抽象的なものをさす語。

つまり、モノが具象であり、コトは意識の対象であったり、抽象的なものです。

これを一つの例で考えてみましょう。「荷物を積んだドローン」というとモノを意味します。これに対して「ドローンで荷物を運ぶ」というとコトになります。

この2つはどう違うのでしょうか?

「荷物を積んだドローン」というモノは客観的なものであり、それを見ている人間の主観に関係ありません。

ところが、「ドローンで荷物を運ぶ」というコトはドローンという客観的なモノだけではありません。そこに何らかの形で関わる「わたし」がいるわけです。つまり、必ず意識の対象であり、主観が入るのです。

主観が入ることで初めて「ドローンで荷物を運ぶ」というコトが生まれます。「荷物を運ぶ」というのは「わたし」がそう思っているだけであって、あくまでも主観です。第三者にはドローンを飛ばして楽しんでいるだけにみえているかもしれません。

言い換えると、「荷物を積んだドローン」はモノであり、誰がみても「荷物を積んだドローン」なのですが、コトはそれを経験している人の主観も含んでおり、「荷物を運ぶ」という主観が相俟って「ドローンで荷物を運ぶ」ということになります。これが、モノとコトの本質的な違いだといえるでしょう。


◆づくりのポイント

さて、このように考えたときに、づくりの重要なポイントは、モノは個人の主観を排除した分析的な視点でも見えますが、コトは見えないということです。

従って、コトづくりにおいては、「わたし」(あるいは人間)が主体となります。ここが大切なところです。わたしではなく、一般論としてのコトづくりはあり得ないということです。

つまり、コトづくりにおいては、「わたし」が何かと何かを結び付け、顧客に対して新しい関係性(価値)を生み出すのです。


◆コトづくりにおけるコンセプチュアル思考

ここでポイントになるのがコト的な価値としてのコンセプトです。

上に述べたように、ジョブズはiPodを創ったときにシンプルな卓越したデザインのハードウエア(モノ)を作り上げると同時に、「どのレコード会社のミュージシャンの曲もネットワークからいつでもデジタル情報のまま取り込んで楽しむことができる」というコトの価値(コンセプト)を見出し、創り上げました。これが、iPodの成功要因になったといわれています。

ここで注目されるのは、iTuneが整ったところで、iPodにシャッフルのモデルを提供していることです。「楽しむ」というコンセプトの実装としてシャッフルするハードウエアを提供したわけです。実はコトづくりという場合、モノをコトはコンセプトで統合されている必要があります。

この例はコトづくりの威力を世の中に知らしめた例であると同時に、コンセプトの重要性を知らしめた例だといえるでしょう。

コトづくりは主観だけではなく、モノという客観とコトという主観のバランスを取ることが求められます。モノづくりとコトづくりの統合というのは主観と客観の統合に他なりません。

言い換えると、コトづくりには、コンセプチュアル思考の主観/客観の軸が重要な役割を果たすといえます。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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