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リカバリーマネジメントにはプロジェクトマネジメントとはまったく別のプロセスがあり、そのプロセスを踏んでいくことがリカバリー成功への近道

【番外編】プロジェクトリカバリーマネジメントの復習(2005.07.1)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

◆是正、計画変更、トラブルの違い


リカバリーマネジメントについては、PMO進化論で解説してきました。具体的な進め方については、PMO進化論のバックナンバーをお読みいただくとして、ここでは、なぜ、リカバリーマネジメントが必要なのかについて説明したいと思います。

プロジェクトで計画との差異が出てきた場合の対処としては、是正、迂回、計画変更といった対処があります。

是正や迂回は基本的には計画を変更しないで対応する方法です。ちょっとスケジュールが遅れてきた、ちょっとコストがオーバーしているといった場合には、ことを荒立てないで何とか頑張って計画とのつじつまを合わせようという調整です。このような調整は結構やっているものです。

しかし、計画(ベースライン)に対して、調整ではどうしようもなくなった場合には、計画変更を行います。計画変更はベースラインを変更し、プロジェクトの目的だけは達成しようという活動です。これも考えようによっては目的に対する調整になります。計画変更が成り立つのは、コストオーバーしても納期に間に合えばプロジェクトの目的は達成できる、あるいは、コストオーバーや納期遅れがあっても、目標の品質が達成できれば、プロジェクトの目標は達成できるというケースが考えられます。

たとえば、生産財の開発で、とにかく品質さえクリアできれば、多少、発売が遅れてもシェアに影響がないとか、開発コストはかかっても製品コストへの影響を防げれば問題ないといったケースが上げられます。

しかし、場合によっては、納期が遅れるとプロジェクトの目的は達成できないといった場合が出てきます。たとえば、新工場の制御システムが工場の操業開始までにできなかったとすると、生産ができず、プロジェクトとしては完全に目的未達成で、失敗になります。

◆リカバリーマネジメントとは


このようにプロジェクトの目的を達成できない状態になることを「トラブル」といいます。そして、トラブルの状態で、できる限り、目的の未達成度を小さくするための活動をプロジェクトリカバリーマネジメントと呼びます。

この活動は通常のプロジェクトマネジメントとは本質的に異なることを認識しておく必要があります。通常のプロジェクトマネジメントはいかに「利得」を大きくするかという発想で行いますが、リカバリーマネジメントはいかに「損失」を小さくするかという視点で行われます。

このためには、目的が達成できないことが分かってもそのままずるずるとやることは避けることが重要です。まず、目的と目標の設定をしなおします。ここでいう目的とは妥協した目的であり、もし、妥協した目的さえも見つからない場合には、そのプロジェクトは中止することになります。また、目標とは、現在のプロジェクトの状況を踏まえ、損失をどの程度にとどめるかという目標になります。

その上で、まずは、プロジェクトを安定させる必要があります。これができない限り、状況が悪くなる一方だからです。

このような通常のプロジェクトマネジメントとは異なるモードの活動をし、通常のプロジェクトマネジメントにバトンタッチするところまで持っていくのがリカバリーマネジメントです。

したがって、リカバリーマネジメントにはプロジェクトマネジメントとはまったく別のプロセスが存在し、そのプロセスを踏んでいくことがリカバリー成功への近道です。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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