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【PMOコラム11】正しいPMOの作り方(2006.09.21)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆PMブームからPMOブームへ

プロジェクトマネジメントのブームが沈静化し、地に足を据えた取り組みをする企業が増えてきたなと思ったのもつかの間、なんやら、PMOブームのような状況になってきた。プロジェクトマネジメントブームもPMOブームも根っこは同じだ。プロジェクトマネジメントがうまく行かないことにある。

話は変わるが、PMAJのP2Mの改訂に関わることになった。その入り口で、P2Mがどうすれば売れるかという議論があり、なかなか、興味深かった。P2Mはプロジェクトマネジメントとプログラムマネジメントの標準であるが、はやり、企業の多くはプログラムマネジメントではなく、プロジェクトマネジメントをきちんとやることを望んでいるという。

この感覚は僕がコンサルティングの現場で感じている感覚に近い。付け加えれば、かなりの人は、プロジェクトで起こっている問題の原因の多くがプログラムの問題であると気がついているにも関わらず、やはり、それをプロジェクトマネジメントの範囲で何とかしようする。これは単に職務権限の問題なのかもしれないが、深刻な問題であることは間違いない。


◆PMOに注目すれば何が変わるのか?

では、PMOに注目すれば何がどう変わるのか?PMOを強化するとプロジェクトマネジメントがうまく行き、プロジェクトが成功するのか?残念ながら、そうはならないだろう。その理由を説明する前に、なぜ、こういう発想になるのかを考えておきたい。

一般的に、人が問題解決を行う場合には、例外なく自分(の役割と実績)がきちんとできているという前提で進めていく。プロジェクトマネジメントの問題であれば、まずはプロジェクトマネジャーをなんとかしなくてはならないという話になる。ここで何らかの施策を行い、これ以上成果がでない、あるいは、十分に成果が出なかったという認識をすると次のフェーズに移る。これが現在の状況で、ここで、PMOが注目された。PMOを作ればなんとかなると思う人が多い。

PMOを作ること自体は無駄なことではないが、これは優先順位が違う。プロジェクトチームにはもう一つ、内部のロールがある。戦略ノートの4回あたりで述べたプロジェクトスポンサーである。

 ラインマネジャーはプロジェクトスポンサー


◆課題解決型のPMOの設立を目指す

一通り、プロジェクトマネジメントの導入を行って、さらに、次に進もうとしたときに、まず、行うべきことは、プロジェクトが成功させるためにはプロジェクトスポンサーが何をすればよいかを真剣に考えることである。その中に、PMOを作るという話が出てくる。ただし、何でもいいからPMOを作るということではない。プロジェクトスポンサー(多くの場合、プログラムマネジャーである)が複数のプロジェクトのマネジメントを見ていく中で、もう一つの顔である組織マネジャーの一人という立場でみて、プロジェクト単体でやるのではなく組織として取り組んだ方がよい課題が出てきたときに、PMOを作るという選択が出てくる。

実は、プロジェクトマネジメントの導入というのは本来はこの文脈で出てくるものだ。プロジェクトスポンサーがプロジェクトマネジメントの導入の必要性を感じ、それを組織マネジャーの立場でPMOを作り、展開していったケースが多い。

そのように考えると、PMOにどのような機能を持たせるかを他社がどうだといった理由で分析してみてもほとんど意味がない。考えるべきことは、自社のプロジェクトマネジメントの問題を分析し、それに併せて、PMOの機能を設計することだ。


◆PMOの設立は毒になるケースがあるので要注意!

ここで警告しておきたいことがある。プロジェクトマネジメントの導入というのはなんやかんやと言っても薬になっても毒になるケースはあまり見たことがない(導入のアクティビティが混乱して毒になったケースはいくつか知っているが)。しかし、PMOの導入は下手をするとプロジェクトガバナンスを混乱させ、毒になるケースがあるので注意を要する。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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