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【PMOコラム12】PMOリーダーがPMを変える(2006.10.02)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆PMOブーム到来!?

9月29日に第2期のPMOリーダー養成講座の説明会を行った。1週間前にすでに50名になり、好評だった。今回は講演をマイクロソフトの浦さんに、プロジェクトマネジメントの導入をテーマにお願いした。PMstyleでもそろそろ、ツール(PMIS:プロジェクトマネジメント情報システム)の問題と正面から取り組もうと思っており、どんな切り口がいいかを探る意味があったが、こられた方の関心は、はやり、PMOの立上げとか、成長にあるようだった。

ちなみに、同じ日の夕方、PMI(R)東京支部の例会で、三菱総研の方がPMOの話をされるということで参加したが、こちらも盛況で、PMOに対する関心はどんどん高くなっていることを実感した。

このセミナーでも簡単に問題提起をしたのだが、実際問題として、PMOにはどんな問題があるのだろうか?あるいは、PMOを作ったときにうまく機能するにはどのような問題をクリアしなくてはならないのだろうか?この問題はさまざまな観点があるのだとは思うが、今、もっとも痛切に感じているのは、人の問題である。また、企業から聞く話の中でもやはり、人の問題が大きいようだ。


◆PMの標準化は賽の河原で石を積むような仕事?

先日、こんな相談を受けた。3年くらい前から、PMOを作ってPMBOK(R)流の定着を図っているのだが、なかなか、成果がでない。コンサルも使っているが、コンサルの分析は仕組みやプロジェクトマネジャーの問題点の指摘が多い。確かに指摘としては正鵠を得ているので順に取り組んでいるのだが、あまり、成果には結びつかない。「賽の河原で石を積んでいるような思いだ」とも言われていた。

この企業はコンサルタントを入れているので、方法論を作るところにはあまり問題がないのだと思うが、よく見かけるPMOの活動の問題で以下のような問題がある。

標準や制度を作っても実行されない
プロジェクトガバナンスのマネジメントができない
プロジェクトに影響を与えられない
プロジェクト実施環境に応じて、PMOが変容できない

この中でもっとも基本的な問題はやはり、最初の「標準や制度を作っても実行されない」という問題である。最近、PMOの権限という話をよく聞く。PMOが権限を持ち、現場に出るといろいろな問題が解決するという話はある意味で幻想である。そんな活動をするPMOを作るのであれば、プロジェクトマネジャーの強化をするだろうし、そもそも、そんなことができないから、プロジェクトマネジメントに対する支援の必要性が訴えられているのだ。


◆PMOの切り口での支援をするPMOリーダー

その意味で、PMOはPMOとしての切り口で支援を行わなくてはならない。そのためには、まずは、標準や制度を実行性のあるものにすることだ。

ここで再び、PMOの権限というのが登場してくる。PMOに権限を与えると、標準や制度を実行させることができると考える。これも幻想だ。プロジェクトマネジャーが標準や制度を実行することでプロジェクトの結果責任から逃れられるのであれば、確かに、考えるプロジェクトマネジャーはいるような気がする。しかし、最終的には、やはり、そういう理由では実行しないだろう。

プロジェクトマネジャーが標準や制度を実行する「唯一の理由」はその標準を使えばプロジェクトが成功すると思うことである。ここでまた水掛論になる。PMOが他の成功したプロジェクトや識者の意見を取り入れて開発した標準を、「一介のPM」が無視するのは如何なものか?

これでは良い商品を作ったのに買ってくれないと顧客のレベルを非難している企業と同じだ。PMOにとってプロジェクトマネジャーはコントロールの対象ではなく、顧客である。そのような対応ができるのが、われわれが提唱しているPMOリーダーである。そうあってほしいと思っている。

(以下、次回に続く)


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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