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第27回 戦略的PMOのPM改善への取り組み(5)~OPM3(R)の概要(2007.01.15)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


前回までプロジェクトマネジメントケイパビリティと成熟度のアセスメントと向上の基本戦略について議論した。

第26回 戦略的PMOのPM改善への取り組み(4)〜成熟度のアセスメントと改善


今回は、これらのアセスメントに用いられる「標準」として、OPM3(R)について概要を説明しておく。


◆成熟度の標準 OPM3(R)

ケイパビリティの改善、組織成熟度の改善を目指す標準としては、PMBOK(R)の提案をしているPMI(R)のOPM3(R)がある。

OPM3(R)では、

第23回プロジェクトマネジメントが成熟するとはどういうことか?

で説明したPPP/SMCIマトリクスと呼ばれる成熟度モデルをベースにし、

 アセスメント
   → 改善計画
     → 改善実施
      → プロセスの繰り返し
       → アセスメント

といったサイクルを前提にしている。

このフレームワークの中で、ケイパビリティに対して、ベストプラクティス、KPIを提供して、改善の標準的な道筋を示そうとするものである。


◆OPM3(R)のベストプラクティス

OPM3(R)のベストプラクティスの例をひとつあげておこう。リソースプールのマネジメントと呼ばれるベストプラクティスである(BP1410はID)

【リソースプールのマネジメント(BP1410)】
組織がプロジェクトに対して、プロフェッショナルなプロジェクトマネジャー、および、一人前のスキルを持ち、プロジェクトチームにコミットする要員を供給できる。

このベストプラクティスはPPP/SMCIマトリクス上では、「プロジェクト、標準化」に対するベストプラクティスの位置づけになっている。

このベストプラクティスに対して定義されているケイパビリティには

・人材リソースプールの重要性を知っている
・リソースプールに対する要求のプロセスが決まっている
・スキルデータベースが構築されている
・トレーニングに対する要求事項が定義されている
・プロジェクトからのリソース要求にうまく応えることができる

の5つがある。OPM3(R)がよくできているのは、 BP1410を構成するケイパビリティとして、他のベストプラクティスを構成するベストプラクティスが含まれる点である。上の例では

・方針とプロセスを習得したスタッフが育成されている(BP5220)
・人材計画がレビューされている(BP1400)
・技術人材、管理人材が配属されている(BP3100)
・プロフェッショナルプロジェクトマネジャーがアサインされている(BP5630)

といったものが上げられている。これにより、ケイパビリティがネットワーク上に張り巡らされ、それにより組織のプロジェクトマネジメント能力が構成されるという大変に興味深いモデルになっている。


◆OPM3(R)の全体像

OPM3(R)では、このようなベストプラクティスがベストプラクティスには、

・基本プロセス(468プロセス)
のプロジェクト、プログラム、ポートフォリオの各ドメインの基本プロセスに対するベストプラクティス

・イネーブリリングプロセス(118プロセス)

だけ準備されている。

OPM3(R)の発表の後に、プロジェクトマネジメント標準PMBOK(R)が改訂され、また、新たにプログラムマネジメント、および、プロジェクトマネジメントの標準が登場した。

これらの動きを受けて、OPM3(R)も改訂されることになっている。本質はそんなに変わっていないので、現状のOPM3(R)は現状のスタンダードに対しても使えなくはないが、必ずしもぴったりは合っていない点に注意しておいてほしい。



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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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