前回、何を標準にすべきかという議論をしたが、実際に標準を作る際にはプロジェクトマネジメントで一般的に使われているツールを中心にして、テンプレートを作るのが合理的である。実際に、PMBOK(R)の導入といえば、PMBOK(R)のプロセスの導入とともに、PMBOK(R)で定義されているコンピテンシーに対して、テンプレートを準備していくという方法が取られることが多い。
今回で標準化は最後のセッションとするが、最後に、どのようなツールを標準化するかの一覧を示しておく。なお、これは今までどこかの組織で行った標準化コンサルティングの項目のORになっている。決して一組織がこれだけの標準を作っているということではないので注意をしておいてほしい。
・プロジェクト憲章
プロジェクトマネジャーに会社のリソースを使うことを承認するドキュメント。シニアマネジャーによって編集される。
・前提条件
プロジェクトを実施するに当たって設定する前提条件リスト。
・スコープ記述書
プロジェクトで期待される成果物について記述したドキュメント。最終成果物、スコープ区分など。
・プロジェクト評価基準
プロジェクトの成功基準について記述したドキュメント。最終成果物だけでなく、スケジュール効率、コスト効率、ROI、ユーザ満足なども含まれる。
・プロジェクト体制表
プロジェクトチーム構造を図式表現したもの。
・組織図
組織の中でのプロジェクトの位置づけを図式表現したもの。
・RAM(Responsibility Assignment Matrix)
プロジェクトチームの各人が何に責任を持つかを示す表
・ジョブ・ディスクリプション
プロジェクトチームのそれぞれのポジションのジョブを記述したドキュメント
・WBS(Work Breakdown Structure)
プロジェクトとして実行すべき全ての作業を階層的に表現したもの
・PBS(Product Breakdown Structure)
プロジェクトで生成すべき成果物を階層的にすべて表現したもの。
・見積標準
見積作業のガイドラインと、プロジェクトチームで見積もりに使う実データ
・プロジェクトスケジュール
プロジェクトの各アクティビティがいつ始まり、いつ終わるかを関係するグループに通知するドキュメント。ベースラインも含まれる。
・ウィークリーレポート
プロジェクトチームの内部にプロジェクトの状態を知らせるために配布される週間レポート
・プロジェクト計画
コストとスケジュールのマネジメント計画。プロジェクトをどのようにマネジメント
するかを明確にするドキュメント。この成果物はアクティビティの実行中、常に更新される
・プロジェクトレビューと承認プロセス
プロジェクトスポンサー、ステアリングコミッティーのメンバーなどについて決定し、記述したもの
・成果物承認プロセス
成果物が承認され、プロジェクトが終了する、あるいはプロジェクトが中止されるプロセスを記述したもの
・リスク識別
プロジェクトリスクの内容、発生の可能性、それを軽減する戦略について記述したド
キュメント。
・マネジメント要求
プロジェクトライフサイクルでマネジメントに対してどのような要求があるかを記述したドキュメント
・品質保証計画
組織として、品質標準をクリアするようなプロジェクトパフォーマンスを評価するための方法について記述したドキュメント
・変更管理計画
プロジェクトスコープの変更をどのように管理するかについて記述したドキュメント
・変更要求とログ
プロジェクト変更プロセスを記述したドキュメント
・トラッキング計画
トラッキングをすべきアクション項目を記述したもの
・PMOチャーター
PMOの役割と貢献について記述したドキュメント
・ベンダー契約書
サブコントラクタとの間で、作業、および、チームや条件について法的に交わすドキュメント
・レッスンズラーンド
実施されたプロジェクトの事後報告
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3.プロジェクトマネジメント標準ツールの設計と事例
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4.テンプレートの開発
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好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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