◆理念と文化
前回はサービスマネジメントの4番目の構成要素である「イメージ」について述べた。今回は最後の要素である、「文化と理念」について述べる。
まず、理念とは何かという話であるが、
PMOにおいてメンバーの判断の規範となるような明示的な価値観
を理念という。これに対して文化は少しややこしいのだが、
PMOにおいて構成員の判断を深いところで規定している非明示的な規範や価値観の総体
ということができる。ここで注意してほしいのは、文化は必ずしも望ましいものとは限らないことだ。たとえば、官僚主義というのはあまりよい意味では使われないが、これも文化である。
◆PMOが持つべき、理念と文化(1)〜卓越したサービス品質
さて、ではPMOはどのような理念と文化を持てばよいのだろうか?
まずは「卓越したサービス品質」であろう。ただし、ここで重要なことは、サービス品質の定義がセグメントとコンセプトの2つの視点から明確になっていることである。たとえば、PMOは闇雲にプロジェクトマネジャーに尽くせばよいという話ではない。明示的なサービスセグメントとコンセプトの中において、それを実現するのがサービスの品質である。
◆PMOが持つべき、理念と文化(2)〜顧客志向
二点目は顧客志向である。すでに述べたように、まず、顧客とは誰かという議論があり、日常のサービス提供における意思決定が顧客価値の向上のために行われる。
多くの企業では、PMOの顧客は上位組織か、プロジェクト(マネジャー)であるが、プロジェクト活動の構造上、このいずれが顧客であっても顧客価値を向上させるためには、双方の利害を一致させることが不可欠である。
ここも勘違いしてはならないのは、顧客第一主義ではないことだ。これを勘違いして、顧客であるプロジェクトマネジャーや上位組織の言いなりになっているPMOは少なくない。これはうまくいかない。上位組織に言いなりになればプロジェクトマネジャーからPMOは何のためにあるのかと批判され、プロジェクトマネジャーの言いなりになってしまうとPMOの存在価値を問われることが多い。
◆積極的な人的資源投資
三番目は人的への積極的な投資である。このような理念・文化なくして、PMOの活動が永続的にうまくいき、組織のプロジェクトマネジメントの成熟度が向上していくというのは難しいだろう。逆説的に聞こえるかもしれないが、人が育つためには、人材資源への積極的な投資をしているという組織文化が必要である。口でいくらPMOは人材だといってみても、実態としてはコストセンターであり、人材育成にコストをかけていないようでは、人は育たないだろう。
◆理念や文化の欠如が内発的な活動を阻害する
ほかにもあると思うが、とりあえず、少なくともこの3点についてはきちんと押さえておくべきだろう。その上で、改めて考えていただきたいことがある。それは、PMOスタッフの多くが何をすればよいかわからなく、頼まれたことをやっているという現実があることだ(これでも十分忙しくしているのだが!)。
これは理念や文化の欠如に他ならない。つまり、PMOのスタッフが「どうがんばれば組織のプロジェクトマネジメントのためになるのか」という判断基準になるのが、理念や文化だからだ。
PMOサービスを個々のメンバーの内発的な動機で行われるようにするには、デリバリーシステムのところで述べたように人材の育成をすることとともも、文化・理念を明確にし、価値観を示していくことが重要である。これも、PMOリーダーの役割だといえよう。
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好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
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