前回はサービスとは何かという話をした。今回は、ではサービスマネジメントとは何かという話をしたい。
◆サービスマネジメントの枠組み
サービスマネジメントのバイブルになってるリチャード・ノーマンの「サービスマネジメント」では、サービスマネジメントのフレームワーク(枠組み)を以下のように示している。
(1)マーケット・セグメント
(2)サービス・コンセプト
(3)サービス・デリバリー・システム
(4)イメージ
(5)文化と理念
リチャード・ノーマン(近藤隆雄訳)「サービス・マネジメント」、NTT出版(1993)
このコラムでは、リチャード・ノーマンのフレームワークをベースにして、PMOのサービスマネジメントを検討したいので、まずは、この5つの要素を簡単に説明しておく。
◆マーケット・セグメントとコンセプト
まず、マーケット・セグメントであるが、これはサービスをデザインするにあたって、前提とする顧客のタイプを示している。サービスマーケティングにおいては、人口統計を使ってセグメントを設定することもあるが、むしろ、特定ニーズを共有し、共通的な行動を取るグループを見つけるという方法の方が効果的であるとされている。PMOサービスのセグメントも後者の方法で探す方が適切だろう。
二番目は、サービスコンセプトである。これは顧客に提供しようとする特定のベネフィットを意味している。ベネフィットは、身体的なもの、心理的なもの、感情的なものなどに分けることができる。また、重要性注目して、「コアサービス」と「ペリフェラルサービス(周辺的サービス)」に分けることもできる。
◆サービス・デリバリー・システム
三番目はサービス・デリバリー・システムである。サービスデリバリーはサービスを提供するための仕組みであり、以下の3つの要素に注目しておく必要がある。
・人材
・顧客
・技術と物的要素
ここで重要なのはサービスデリバリーの中に顧客が入っていることである。顧客はいったんはサービスを受けるが、受けたサービスの消費ととにもサービスの生産と提供において構成要素になることが多い。ここを認識できていないと顧客満足の高いサービスを提供することは難しい。
たとえば、システムインテグレーションサービスにおける顧客を考えてみればこの点はよく分かる。顧客は基本的に必要なシステムを作ってもらうというサービスを受ける立場にあるのだが、要求を出したり、テストに協力するなど、サービスの生産のための構成要素になっている。
◆イメージ
四番目のイメージは、ステークホルダがサービスの提供者に対して持つイメージである。別の言葉でいえばブランドである。ここで重要なことは、長期的な目でみればイメージは実績である。つまり、誰にどのようなサービスを提供してきたかがイメージになるわけであるが、短期的に見た場合には実際の事実から離れていてもイメージを新しい事実を提供するために使うことができる点である。
これは上の顧客と深い関連があるが、たとえば、SIのサービスを行う際に、もし、顧客がSI企業はあまり自社の事業分野に強くないが、とりあえず、価格が安いので選択したと自覚しているとすれば、顧客はSIベンダーを信頼せず、顧客と協力しなくてはならない部分がスムーズにいかず、結果としてサービスの品質が下がる。そこでSI企業は、その案件におけるその分野への習熟を前提にして、その分野に強いというイメージを作る必要がある。
◆価値観
最後の文化と理念はサービス提供者の価値観を示すものである。ノーマンはサービス提供者の代表的な価値観として以下の3つを示している。
・品質と卓越性への指向性
・顧客志向
・人間への投資(と高い社会技術への指向性)
次回は、PMOサービスマネジメントにおいて、これらの枠組みをどのように捉えていけばよいかを解説する予定である。
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好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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