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【PMOコラム63】PMOのサービスマネジメント(4)〜サービスという商品(2008.07.07)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆サービス商品=サービス+モノ

プロジェクトマネジメントオフィスが提供するサービスはどのような特性を持つ商品なのだろうか?一般にサービス商品がそうであるように、PMOが提供するサービスも、サービス(無形部分)とモノ(有形部分)で提供される。

PMOの議論の前に一般的な話を考えてみる。モノを売るときにもサービスは含まれている。たとえば、自動車(モノ)の販売を考えてみよう。自動車を売るというのは、単に自動車本体を売るだけではない。使い終えた自動車のリサイクルや自動車の操作方法の説明、アフターサービスなどもサービスのサービスも同時に販売する。最近ではファイナンシャルサービスを販売することもある。

逆に、サービス業と言われる事業でも、モノの販売が含まれていることが多い。たとえば、レストランを考えてみると料理はサービスと同じくらいの重要な商品である。ホテルはサービスの比重が高い商品であるが、それでもアメニティなどのモノを合わせて提供しているし、また、食事などと組み合わせたようなサービスの提供を行うことも多い。

モノを販売するときのサービスや、サービスを販売するときのモノの値段は、代金の中に含まれて見えないことが多く、顧客はそのような意識をしないことをも少なくないが、現代のサービスやモノとして売られているものはほとんど両方を含んでいる。


◆どのようなバランスにするか

そこで問題になるのが、サービスとモノのバランスであり、どのような商品として売るかである。たとえば、住宅を考えてみると、通常の売り方であればモノが主体でサービスが付加価値になっている。ところが、賃貸という販売方法もあり、その場合、サービスが主体で、モノの要素は少ない。この2つの売り方は、市場も異なれば、営業方法も異なる。まったく、別商品だと考えてよい。このように、バランスによって商品としての性格が変わってくることは、よく考えておく必要がある。


◆PMOサービスはモノに重心があることが多い

さて、PMOサービスの話に戻ろう。PMOサービスにもやはり、サービスの部分とモノの部分がある。具体的な例としては、コンサルティングやマネジメント作業の支援はサービスであり、テンプレートの提供や標準の提供はモノの提供だと考えることができる。

日本はモノのビジネスは進んでいるが、サービスのビジネスは遅れているとよく言われるが、PMOのサービスにおいてもまさにこの指摘が当たっていると言える。多くの組織においてPMOの活動(PMOのサービス商品)の比率は圧倒的にモノの方に偏っている。それも、プロダクトアウトが多い。

PMOという組織の性格を考えた場合、これは正しいのか、それとも間違っているのか?問題はここにある。


◆どのようなサービス商品にするかは、PMOの戦略と目的の問題

これはPMOの基本的な戦略の問題である。たとえば、標準化やナレッジマネジメントを目的にしたPMOであれば現状のようなバランスには合理性がある。ただし、現在の問題は、あまりにもモノ重視になっており、サービスがうまく機能していないことにある。具体的な問題を言えば、標準やテンプレートを提供するのはいいのだが、そのフォーローアップが十分といえる組織は珍しい。情報ツールを提供するが、その活用方法についてはベンダーと相談してくださいという、といった感じの組織が多い。

では、サービスを中心にしたPMOというのはどのようなものであろうか?単純にいえば、コンサルティングを提供するということになるが、それよりも仕組みづくりを行うPMOの方が現実的ではないかと思う。

つまり、標準やツール、テンプレートといったものがあり、そのモノをうまく使うための仕組みづくりである。これができているようで、意外とできていない。ここにプロジェクトマネジメントの普及の一つのヒントがあるようにも思える。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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