◆サービスの定義
さて、今回からPMOのサービスマネジメントについて考えていきたい。
サービスという言葉は何気なく使っているが、改めて何かと聞かれると、なかなかこたえにくい言葉である。そこで、まず、サービスという言葉の定義をしておきたい。サービスに関するマネジメント論としては、近藤隆雄先生のサービスマネジメント論がもっともよく知られている。近藤先生はサービスを
サービスとは人間や組織体になんらかの効用をもたらす活動で、そのものが市場で取引の対象となる活動である
(出典)
近藤隆雄「サービス・マネジメント入門第3版」、社会経済生産性本部(2007)
と定義されている。ここでは、これをサービスの定義として、PMOサービスを
PMOサービスとはプロジェクトステークホルダにとって価値のある活動で、それを得るために対価を要する活動
と定義したい。ステークホルダにとってという点に違和感を感じる方もいらっしゃると思う。この点は次回、議論することにし、今回はもう少し、イメージの共有をしたい。
◆PMOの活動とサービス
このようにサービスを定義しても、その境界は結構あいまいである。以下のようなPMOが行う「サービス」を考えてみてほしい。
(1)PMOスタッフのA君の元気なふるまいはプロジェクトマネジャーを元気づける
(2)PMOの方針はプロジェクトマネジャーを第一に考え、支援していくことだ
(3)PMOのA君は計画レビューで5時間の工数が発生したが、計上をしなかった
(4)PMOスタッフのA君は担当プロジェクトのプロマネが忙しいので、計画書のたたき台を作成した
これらのサービスは以下のような意味あいになる。
(1)は態度としてのサービスである。
(2)は精神的なサービスである。
(3)は犠牲的なサービスである。
(4)は機能的なサービスといわれるものである。
日本語ではいずれもサービスという言葉で表現すると思うが、必ずしも上の述べたような意味でのサービスということではない。
◆サービスであるPMO活動、サービスでないPMO活動
まず、(1)の態度はサービスとは考えられないことが多い。態度はサービスを提供する際の媒体であって、それ自体が付加価値を生む(市場で取引される)ものではないという認識が強い。ただし、上の例で、A君が落ち込んでいるプロジェクトマネジャーを元気づけるためにそのような態度をとっているのだとすればそれはサービスになる。その場合には(4)の機能的なサービスになる。
(2)はサービスの内容に影響を与える要素であるが、サービスそのものではない。なお、サービスマネジメントにとっては不可欠な要素になることに注意しておいてほしい。
(3)には2つのサービスが含まれている。ひとつは計画書レビューをするというサービスで、これは機能的なサービスである。もうひとつは、おまけしておくとか、奉仕するといった意味でのサービスで日本独自のサービスと言われるものだ。こちらはサービスとはみなさない。
このようにPMOの活動がサービスかどうかは、見方によるという側面がある。PMOの仕事って何という悩みを持っている人は多いが、原因の一つに境界がはっきりしないという点がある。しかし、ここでは、きっぱりと割り切り、サービスとは機能的なもの、つまり、目的があるものであると限定して議論していくことにしたい。
まず、手始めに、皆さんが実際にPMOとして行っている活動が(1)〜(4)のどれに該当するものかを整理してみてほしい。
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好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
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