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【PMOコラム51】PMOの目標設定(2008.04.07)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆ビジネスケースのもう一つの役割

◆はじめに

前回は、詳細ビジネスケースの項目として
1.ビジネスケースの作成に当たっての前提
2.課題解決と機会の概要
3.PMOの役割、責任、組織
4.初期のPMOの目標と評価指標
5.予想されるコストと期待されるリターン
6.スタートアップロードマップ
7.PMOの承認
の7つが必要であることを示し、3.までのポイントを解説した。今回は4.について説明する。


◆目標を問題解決の視点だけから設定しない

PMOの役割、責任、組織を決めたら、次に初期のPMOの目標と評価指標を設定する。以前も述べたが、プロジェクトマネジメントの問題解決としてPMOの初期目標を設定するのは必ずしも好ましくない。どのような問題があろうと、初期目標の際の視点としては「成果を出す」ことを考えるべきである。

これにはいくつかの理由がある。もっとも重要な理由は、どのような施策を実施するにしても、プロジェクトマネジャーからの協力を得ることが成功の第一条件だからである。1月7日のコラムで述べたように、プロジェクトマネジャーにカレンシーを与える初期目標であることが望ましい。

支援プロジェクトは顧客

もちろん、これが一致すれば望ましいが、深い問題を抱えている組織では、本丸に着手すると1年やっても目立った成果は見られないなどということがある。


◆事例

たとえば、ある組織の例。リソースマネジメントで上位組織とプロジェクトの間のコミュニケーションがうまくいかず、プロジェクトはリソースをタイムリーに提供してほしいという不満を持ち、また、上位組織は直線にならないとリソースの要求が出てこないという不満を持っていた。

計画書を標準化してプロジェクトを可視化することによって問題を解決しましょうというのが、教科書に書いてある答えだ。

しかし、ここで考えなくてはならないのは、そのようなニーズを持っているプロジェクトマネジャーはそれ以外のマネジメントの問題を抱えていることが多い。そこに、計画書を書けなどといえば、ますまず、現場は混乱するのはまず見えているし、当然、忙しいことを盾に反対をしてくることが予想される。また、上位組織も潤沢なリソースを持っているわけではなく、仮にプロジェクトのリソース必要状況が可視化できたとところで、対応できない可能性も高い。そうすると、プロジェクトマネジャーからは何だという話になる。

そこで、まず、プロジェクトレベルのリスク管理の導入を行い、プロジェクトマネジャーの心配事項の共有と、上位組織への対応を当初目標として設定した。これが達成できることにより、PMOの役割が何となく見えてきて、また、可視化すれば(説明責任を果たせば)上位組織も動いてくれるという信頼が構築されていった。


◆目標設定をどのくらいの期間で目指すか

もう一つ、どのくらいの期間で目標を設定すればよいかという問題がある。われわれはこれについては90日間を一つの目安にしている。90日という時間の重みは組織によって異なると思われる。しかし、単位が月になってしまうようでは人間というのは待てないものだ。やはり、計画も日で作って、せいぜい、二桁で収まる範囲が適切ではなかろうか。上に述べたリスクマネジメントの導入の期間は90日間である。90日間でできる範囲でとどめ、それを徹底的に実施した。それがプロジェクトリスク(計画リスクには立ち入らない)のマネジメントだったわけだ。

もう一つ重要なことは、その目標の評価指標を明確にしておくことだ。評価指標と目標をセットで扱わないと何をやっているか分からなくなる。上のリスクマネジメントの事例では、適用プロジェクトの割合以外に、納期遅れのフェーズの割合の低減目標を設定し、達成度を評価することにした。これにより、プロジェクトリスクの中でも、スケジュールに重点が置かれ、目標の達成ができた。同時に、その対応策として、ある程度、円滑なリソースマネジメントが実現された。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「コンセプチュアル・マネジメント(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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