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シナリオでゴールまでの道のりをイメージしてから、計画を作成する

第4回 WBSとシナリオでゴールまでの道のりをシミューレーションする(2008.11.19)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆計画の前に、WBSでゴールまでの道のりをイメージする

目的・目標ががはっきりしたら、いよいよ、計画だ。

計画を作る際に真っ先に行うべきことは、ゴールまでの道のりをイメージすることである。プロジェクトには2種類ある。どのように成果物を作っていくかを考えるプロジェクトと何を作るかというプロジェクトである。

どのように成果物を作るプロジェクトでは、WBSがゴールをイメージするツールになる。どのように作るかというのは、言い換えるとどのような作業を、どのように連ねていくかである。まず、WBSにより成果物を作り上げていくために必要な作業を洗い出す。そして、その作業の順序を決めていくわけだが、この作業によってゴールまでの道筋を考えることができると同時に、その際のリスクなども分析ができる。重要なことはイメージを持ってWBSから計画に変えていくことであり、そのためには、WBSをみんなでにらみながら、徹底的にシミュレーションをするとよいだろう。

逆にいえば、WBSを眺めていても、どのようにプロジェクト(作業)を進めていくか分からないようであれば、WBSをもう少し、詳細化する必要がある。WBSは計画の作業(アクティビティ)になるので、WBSが分からないのにそれも元に作った計画が理解でき、共有できるなど考えられないからだ。


◆計画の前に、シナリオでゴールまでの道のりをイメージする

これに対して、何を作るかを考えないとならないプロジェクトでは、ゴールシミュレーションを行うことのできるレベルのWBSを作ることそのものが難しいケースが少なくない。この場合、プロジェクトの進め方に対して漠然としたイメージはあるが、実際には何を作ってよいかわからないのだから、作業には落としようがない。
PMBOKであればこのようなタイプのプロジェクトに対してはフェーズを構成して進めていく。一概には言えないが、おそらく何を作るかを決めるまでが最初のフェーズであり、決まったところで次のフェーズに移る。この場合、次のフェースはどのように作るかを考えるプロジェクトに近いが、何を作ることに決まるかによって、いくつかのパターンが考えられる。つまり、Aを作る場合にはこうで、Bを作る場合にはこうといった形だ。

このような場合には、シナリオプラニングが有効である。


◆シナリオプラニングとは

シナリオプラニングはフレーム(着眼する範囲)を決めて、フレームの中で考えられるシナリオを書いていく方法だ。たとえば、治水のプロジェクトがあったとする。ひとつのケースとしてはダムを作ることによって治水することが考えられる。もうひとつのケースとしては堤防を作ることによって治水することが考えられる。このようなときには、まず、それぞれの評価をし、どちらの方法を採用するかを決定するフェーズを走らせる。そして、ダムを作ることになったら、まず、用地を買収して、水没する村を移転させる。そして、山の中に道路を作り、ダムを作っていく。ダムによって、川の流量がコントロールできるようになり、治水が可能になる。これがひとつのシナリオである。もうひとつのシナリオは堤防を作ることに決まる。河川工事を行い、平常時の流れを整備する。そして、氾濫したときにどの程度の増水が見込まれるかを検討し、それに見合うような堤防を構築していく。そして、治水が完成する。これがもうひとつのシナリオである。この場合、フレームは治水の方法である。

そして、ダムを作る場合には、買収に時間がかかる、道路工事に予想以上のコストがかかるなどのリスクが分析され、そのリスクが起こった場合と起こらない場合でまた違うシナリオができる。

このように、計画の前に、必ずゴールまでの道のりをイメージすること。これこそが、よい計画作成の秘訣であり、プロジェクト成功のポイントでもある。

なお、シナリオプラニングのもう少し詳しい説明はバックナンバーでこちらにあるので、参考にしてほしい。

第11回 シナリオでプロジェクトの未来を予測する

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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