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第9回 ティッピング・ポイントを創れ!(2008.11.18)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆ティッピング・ポイント

創造的な構想のために大切なものはなんだろうか?過去にはオズボーンから始まって、さまざまな創造力の向上が議論されてきた。その中で、興味深いと思っているのは、マルコム・グラッドウェルが提唱したティッピングポイントという考え方である。

ティッピングポイントとは

あるアイデアや流行もしくは社会的行動が敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと

マルコム・グラッドウェル(高橋 啓訳)「ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか」、飛鳥新社(2000)


である。通常のマーケティングの世界でいえば、アーリーアダプターからアーリーマジョリティーへいく時点をさしており、ブレークスルーと呼ばれることが多い。グラッドウェルは、ティッピングポイントには

(1)少数の目利きに浸透する
(2)記憶に粘る
(3)背景が味方する

の3つの法則があると主張している。表現は違うが、トム・ピーターズも『「セクシー・プロジェクト」で差をつけろ』で指摘している。

 「小さな問題の陰にビッグプロジェクトあり


◆ティッピング・ポイントはどの分野にもある

ティッピング・ポイントはもとはマーケティングの概念だが、どんな分野でも存在する。たとえば、商品開発プロジェクトを立ち上げるときには重要性が低かったものが、プロジェクトの進行とともに重要性が高まるとすれば、どこかにティッピング・ポイントがあると考えることができる。また、SIのように成果物の普及が問題になるようなプロジェクトでは、そのシステムの関心があるときを境に急速に拡大し、あるときを境にユーザが開発に協力するようになるのもティッピング・ポイントの存在があるといえる。


◆ティッピング・ポイントのある構想のヒント1

なぜ、ティッピング・ポイントや、ティッピング・ポイントのある創造的な構想が生まれるのか?残念ながら、グラッドウェルの本にはそんなに詳しく述べられていないが、2つのヒントがある。ひとつは上で紹介したティッピングポイントの法則の中にある。「少数の目利きに浸透する」という法則だ。創造的なプロジェクトの立ち上げに、多くの味方はいらない。トム・ピーターズが上の本で面白いことを言っている。

 「誰も怒らないプロジェクトなんて、、、」

という言葉。トム・ピーターズのロジックはこうだ。

 すごいプロジェクト=ルールの変更
 ルールの変更=怒り出すヤツがいる

公理だといっている。確かに公理である。最初の段階でみんなが賛成プロジェクトはルールの変更のないプロジェクトだ。逆にルールの変更を伴うプロジェクトだとみんなが敵に回る。それなら、いないほうがよい。

重要なコトは、グラッドウェルがいう、「少数の目利き」がいることだ。ステークホルダの99%が敵でも、1%の目利きがいることが重要だ。


◆ティッピング・ポイントのある構想のヒント2

もうひとつのヒントは、グラッドウェルの別の本に書かれている。

マルコム・グラッドウェル(沢田 博、阿部 尚美訳)「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」、光文社(2006)


自分の直感を信じることだ。日本でも10年くらいの間にロジカルシンキングが根をはやしてきた。その間に、米国では、ロジカルではない部分に注目がいっている。いわゆる右脳思考というやつだ。プロジェクトマネジメントも例外ではない。

B. Michael Aucoin「Right-Brain Project Management: A Complementary Approach」、Management Concepts Inc(2007)


企画は昔からサイエンスとアートの融合作業だといわれるが、グラッドウェルのいっていることがまさにこれ。特にミドルの場合には、業務経験や、社会経験であり、経験に裏打ちされた直感がある。これはとても大切だ。

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  2.3 ステークホルダーへのコンセプチュアルな対応
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  2.5 コンセプチュアルな組織文化の構築
 3.コンセプチュアルなマネジメントの目標
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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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