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第17回 問題を創造する(2009.02.06)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆3種類の問題

プロジェクトビジョンを作るときに、もう一つ考えなくてはならないことは、「問題を作る」ことである。

問題という言葉は「よくないもの、よくないこと」というイメージが強い。しかし、問題には3種類あることを理解しておく必要がある。

一つ目は起こってしまう問題。これは「発生型の問題」と呼ばれる。例えば、スケジュールのベースラインがあって、そこから実績がずれていくと、「スケジュール遅れという問題」が「発生」したことになる。実は、問題という言葉は発生型の問題がイメージになっている。発生型の問題に対しては行ったことやその原因を分析し、問題の解決を行う必要がある。

二番目は、見つける問題。たとえばスケジュールが遅れているわけではないが、メンバー間の作業間の連携に無駄がある。その無駄をなくすとスケジュールを前倒しにできる可能性がある。このようなケースで「無駄があること」は「発見型の問題」とか、「探索型の問題」とか呼ばれる。問題が表面化しているわけではないが、潜在的な問題を見つけ出してきて解決することによって、状態を改善する。

探索型の問題も、理想からの乖離であるという点では発生型の問題と同じである。


◆設定型の問題

そして、もう一つのタイプの問題がある。これがビジョンを考える上では重要である。設定型の問題と呼ばれるもので、文字通り、作られた問題である。言い換えれば、問題がないところに問題を作るのが、設定型の問題である。

たとえば、今までより30%短いリードタイムで商品を開発するというプロジェクトビジョンを掲げたとしよう。これは、この目標の達成を阻害するいくつかの問題を設定していることになる。

・生産性が低い
・段取りが悪い
・・・

これが設定型の問題である。

設定型の問題は、設定されると、改善型の問題になったり、あるいは、発生型の問題に変わったりするが、これらのタイプの問題を解決することが、設定型の問題を解決することになる。

プロジェクトを実施するということは、設定型の問題を作り、その問題を解決するこ
とだともいえる。

以上のように問題には

 起こる問題
 見つかる問題
 作る問題

の3つがあり、これらの問題の解決がプロジェクトの推進ということになる。


◆ビジョンは問題の創造

ビジョンを作るということは見方を変えると問題を創造するということである。前回、ビジョンを提示する際には、スモールステップをうまくとっていく必要があると述べたが、これは問題の設定を上手に行うことだと言い換えることもできる。

ここで、上のタイプの問題はプロジェクトの生い立ちそのものでもあるというも理解しておく必要がある。つまり、上位組織から目標を与えられるということは発生型の問題をプロジェクトとして取り組んでいくことになる。また、上位組織から課題を与えられる場合にはその課題を解決するための問題を発見し、解決していく必要がある。

そして、上位組織からビジョンや戦略を示される場合が、それを実現するための課題を設定し、その課題を解決するための問題を発見し、解決していく。

そして、いずれのレベルでも、プロジェクトで問題解決をしているということを理解しておく必要がある。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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