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第28回 計画と組織(2009.08.24)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆計画の体系

計画概念には

・構想計画
・基本計画
・実施計画

の3つがあり、企業の計画の体系もこれに準じていることが多い。構想計画は、計画を策定し、実現したいことを明確にするための計画である。内容的には、

・ビジョン
・ミッション
・ゴール(目的、計画期間)
・ゴールの優先順位
などを策定する。
基本計画は、構想を実現するための基本方針を明確にするための計画である。内容的には

・成果
・成果達成の基本アプローチ
・成果達成の管理方法
などを策定する。
そして、実施計画では、
・活動・行動計画
・成果計画
を計画し、この計画に従って、計画のフォローをしていく。
上位の計画から、下位の計画を策定する際には、いくつかのオプションが考えられ、その中から最適なものを選ぶというのが一般的である。

これらの計画の体系でもっとも範囲が広いものは

経営計画>事業計画(戦略計画)>業務計画

という体系である。この体系と組織をリンケージさせて組織を計画的に運営していく。これが経営と統制の基本になる。ここで注意すべきことは、これらの計画は入れ子構造を持っていることだ。


◆プロジェクトの計画

プロジェクトの計画は経営からみれば業務計画である。従って、プロジェクトで運営する業務については、業務計画として、業務(プロジェクト)の構想計画、基本計画、実施計画が策定されなくてはならない。業務の構想計画は、より上位の計画である、事業計画を反映した構想になっている必要がある。

計画の呼び方はいろいろであるが、おおよそ、

・構想計画=プロジェクト憲章
・基本計画=プロジェクトマネジメント計画
・実施計画=プロジェクト作業計画

という体系になっている。これを業務実行組織で運営していくことになる。

・構想計画=プロジェクト憲章:プロジェクトスポンサー
・基本計画=プロジェクトマネジメント計画:プロジェクトマネジャー
・実施計画=プロジェクト作業計画:プロジェクトチーム

という分担で計画を策定していくわけだ。


◆責任を適正に遂行すべき

このような組織に対応づけられた計画の連鎖があって、初めて、計画が正しく策定され、実行できる計画になる。

ここで、現場と経営組織の間のコミュニケーションが悪いと何が起こるか?「一人歩きした」プロジェクトの成果から計画が作られる。そうなってしまうと、いくら頑張ってプロジェクトをやっても、経営的には無駄に終わることが多い。例えば、できはよいけど、売れない商品とか、ユーザの使われないシステムなどが生み出される。

逆に、責任ということを考えてみると、プロジェクト憲章という「計画」に書かれていることに対する実現責任はプロジェクトスポンサーにある。この点を誤解している組織やプロジェクトスポンサーは決して少なくない。

例えば、作業の計画が遅れているとする。これにプロジェクトマネジャーなり、プロジェクトスポンサー、シニアスポンサーが関心を持つことは必要である。しかし、スケジュールが遅れているかどうかは彼らにはどうでもいいことなのだ。プロジェクトマネジャーであれば、その遅れがプロジェクトの目的実現にどういう影響を及ぼすかだ。毎度の例で恐縮だが、オリンピック用のシステムを作るのであれば遅れればほとんど価値はない。しかし、銀行のサービスのシステムであれば問題にはなるが、価値がなくなるわけではない。これが目的への影響である。

同様にして、プロジェクトスポンサーが気にすべきこともどれだけ遅れているかではない。遅れによって戦略実行、あるいは事業に対してどれだけの影響が出てくるかだ。

しかし、実際にはそれを気にするプロジェクトマネジャーやプロジェクトスポンサーは少ない。何をやっているかというと、現場に介入してでも、「問題はなかったことにする」、もっとどぎつい言葉でいえば「問題をもみ消す」ことに全力を尽くしていることが多い。これでは、マネジャーとは言えない。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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