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第27回 プロジェクトの組織構造の歪みを吸収するスポンサー(2009.08.17)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆プロジェクトの組織構造の両極

組織的プロジェクトマネジメントがうまく機能するかどうかの一つのポイントになるのが、プロジェクトの組織構造である。

企業の組織の基本になるのは、「機能組織(ライン組織)」で、ライン組織は通常経営に必要な特定の機能を果たす組織である。例えば、メーカで新商品を市場に投入する場合には、マーケティング部門、技術開発部門、生産部門、営業部門など、いくつかの機能組織がそれぞれの機能を果たして、商品を企画し、開発し、生産し、販売するという一つの活動が成立する。プロジェクトは非定常業務のオペレーションを対象に構成するので、この例であれば、プロジェクトの範囲としては、商品の企画、開発、生産準備くらいまでが対象になり、複数の機能組織のメンバーによってプロジェクトを遂行していく必要がある。

この場合の両極端な実行形態は、まず、プロジェクトに参加する人を一時的に機能組織から完全に切り離してしまって、プロジェクトに専従させ、プロジェクトマネジャーも選任するというスタイルと、逆にメンバーをすべて機能組織に残したままで、プロジェクトマネジャーはおかず、プロジェクトはラインマネジャーの合議でやっていくようなスタイルだ。

前者の場合、権限と責任は一見、すっきりしているように見えるが、プロジェクトメンバーの人事権(評価や業務への配置)が機能組織に残っていると、それがプロジェクトの混乱の元になるケースが少なくない。例えば、プロジェクトの進行中にラインマネジャーがメンバーをチェンジさせたり、メンバーがプロジェクトマネジャーより人事権を持つラインマネジャーに従うといった混乱が起こることがある。

逆に、後者のようにメンバーをライン組織に残したままでプロジェクトを行うと、プロジェクトの中でのさまざまな調整をすべてラインマネジャー間の調整に委ねなくてはならず、プロジェクトによってはあまり意味のある体制にならない。


◆折衷案としてのマトリクス型組織とPMO

実際に多いのはこの折衷案だ。折衷案として多いのが、主幹部門を決めて、その主幹部門からプロジェクトマネジャーを出し、メンバーはライン組織に残したままでプロジェクトマネジャーが調整するというやり方だ)。

また、最近になって少し異なる形態として、機能組織としてプロジェクトマネジメントの機能を果たす組織を作っておき、プロジェクトマネジャーはその機能組織から出し、メンバーは各ライン組織に置いたままでプロジェクトを実行していくという形態が出てきた。ちょうど、主幹型プロジェクト組織を変形したような形になる。これがPMOである。

ただし、この形では、プロジェクトの主幹部門がプロジェクトに対して影響力を持てないという新たな問題が生じており、必ずしもすべての問題が解決したとは言えない。むしろ、依然として、各企業はプロジェクト実行形態のあるべき姿を求めて頭を痛めているのが現実である。


◆プロジェクトスポンサーが調整シロを作る

そのような中で、プロジェクト実行形態の問題を運用で解決する方法として、考えられるのがプロジェクトスポンサー制の導入である。プロジェクトマネジャーだけでこのような組織的なひずみを解消するのは荷が重い。そこで、ワンランク上のマネジャーをプロジェクトスポンサーに据えることにより、組織のマネジメントとプロジェクトマネジメントの調整シロを作ることが望まれる。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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