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第18回 すべての問題はガバナンスに通ず(2009.06.02)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆すべての問題はガバナンスに通ず

組織的プロジェクトマネジメントという場合の最大のポイントは、「プロジェクトガバナンス」である。プロジェクトリクエストに端を発し、プロジェクト憲章を経て、プロジェクトプロポーザルに至る一連のプロセスは、ガナバンスの確立のプロセスにほかならない。

プロジェクトマネジメントがうまく行かないケースのほとんどは突き詰めていえば、ガバナンスの問題に帰着するといえる。

プロジェクトガバナンスの問題の中でもっとも深刻な問題は、責任が「あいまい」であることだ。純粋なプロジェクト組織であればすべての責任と権限を一から決めていかないと成り立たない。従って、ガナバンスの不都合はあっても、ガバナンスがあいまいなことはあまりない。

ところがマトリクス型のプロジェクトの場合、たとえば、○○部があって、その部の一課長がプロジェクトマネジャーを担当するとなると、ほとんど権限と責任(プロジェクトガナバンス)の定義はなくても、プロジェクトの運用に支障は生じない。問題が生じたらラインとして決済すればすむような構造になっているからだ。


◆マトリクス型プロジェクトでもガナバンスの可視化は必要

今のところ、多くの組織マネジャーはこの形がよいと考えている。ただし、このようなマトリクス組織でプロジェクトを組んだ場合には、組織マネジャーは複数のプロジェクトをマネジメントするような立場になることが多い。これ自体も問題はない。本来、そのような立場だからだ。

問題は、この際にプロジェクトのプライオリティが明示的になっていないことだ。上
のような立場であれば、少なくともリソースとバジェットについては権限と責任を持
つような立場になる。

ところが、その権限を行使しない。あるいは、自分の中で抱えているだけで可視化しないために、プロジェクトは暗闇の中で働くような立場になってしまう。

プロジェクトマネジメントの研修をすると、多くのプロジェクトマネジャー(上のような構図の中では課長の部下で、プロジェクトリーダーなどと呼ばれたりする立場の人)は、自分たちがちゃんとやろうとしても「上司の理解がない」ためにできないという問題を抱えることになる。

自分だけが変わると、変わろうとした人はジレンマに陥るという話だ。

つまるところ、せっかく、プロジェクトマネジメントの導入をしたのに、見える化ができただけで、何も変わらない。変えようと思えば、プロジェクトガバナンスを明確にし、見える化することは不可欠である。


◆見える化は手段であって、目的ではない

見える化ができただけで十分だという反論もあると思うが、見える化は手段であって目的ではない。

よくプロジェクトマネジメントを導入すると、プロジェクトマネジャーはレポートを上げると言う「余計な仕事」が増えて、かえって忙しくなるという「定説」がある。これを「やらない言い訳」だと片付けてしまうのは簡単だが、本当にそうかと疑ってみる必要はある。

見える化をすることでパフォーマンスが上がる理由は、共有することによって、関係者が「自発」的に動き、それにより小さな問題が大問題化する前に片付くという一点につきる。たとえば、プロジェクトの状態の見える化することによって、プロジェクトの中で上位組織の力を借りなくてはならない問題が自動的に片付くからだ。

ところが、ここで、プロジェクトスポンサーとして動かないで、部下に指導、あるいは、指示をする。つまり、見える化は情報収集であり、「影響力=パワー」を行使するための手段に他ならない。こうなってくると、プロジェクトマネジャーは負担が多くなるだけで、得られるものはない。ラインマネジャーにはこのような言い方をすると反感を持つ人もいらっしゃると思うが、これがプロジェクト的な発想である。


◆組織的プロジェクトマネジメント必須条件

組織的なプロジェクトマネジメントを実現しようとすれば、

(1)プロジェクトスポンサー(ラインマネジャー)は自分の計画を見える化
(2)プロジェクトマネジャーはプロジェクト状況を見える化
(3)お互いに状況を考え、自発的に動く

の3つを実現する必要がある。

問題は(3)がどのように実現されるかだ。ここにプロジェクトリクエストから始まるプロセスの意味がある。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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