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第17回 プロジェクトの構想をプロポーザルにする(2009.05.25)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆メンバーのリクルーティング

前回、プロジェクト憲章の位置づけについて説明した。

プロジェクト憲章の発行により任命されたプロジェクトマネジャーは次に、プロジェクトチームの編成をし、プロジェクトの推進体制を整えていくが、この際に、メンバーのリクルーティングを巡っては2つのパターンがある。

ひとつは、プロジェクトスポンサーが組織のリソースマネジャーを兼ねている場合である。これは典型的にはラインでプロジェクトを行う場合だ。このケースでは、プロジェクトスポンサーはプロジェクトマネジャーを任命するだけでなく、コアなプロジェクトメンバーの推薦を行うことが多い。プロジェクト憲章に明記するかどうかは別にして、このメンバーで、このプロジェクトをやってくれというのがプロジェクト憲章の発行の意味合いになるわけだ。

もうひとつは、ラインとプロジェクトが関係ない場合で、この場合にはプロジェクト憲章の発行後に、プロジェクトマネジャーがメンバーのリクルーティングを行うことになる。その際には、基本的にはプロジェクト憲章によって組織的に承認されたプロジェクトであることを背景に、リソースマネジャーとプロジェクト期間中のリソースの使用について交渉することになる。


◆構想を固めてプロポーザルにする

いずれにしても、メンバーのリクルーティングを行いながら、プロジェクトの構想を固めていくことになる。

最終的にはプロジェクトの構想は前回も触れたが、「プロジェクトプロポーザル」という形でまとめていく。これは文字通り、「提案書」で提案先はプロジェクト憲章を発行したプロジェクトスポンサーである。


◆MUSTとSHOULD
プロジェクト憲章はその作成の流儀にもよるが、基本的にMUST条件だけではなく、SHOULDも書くようなスタイルのものが多い。その中で、MUSTだけを明示するようなスタイルをとる企業もある。

そこで、SHOULDについては、組織との交渉ごとになる。上に述べたようにプロジェクト憲章から構想をプロポーザルとしてまとめるまでには、リクルーティングが入る。従って、プロポーザルはある程度、リクルーティングの結果次第ということに成らざるをえない部分がある。


◆プロポーザルの位置づけと内容

現実に目を向けると、このプロジェクトリクエストという制度をとっている企業はそんなに多くないが、具現化の方法としてはたとえば、以下のようなものがある。

・プロジェクト憲章をスポンサーとプロジェクトマネジャー(候補)が協議して作って、プロポーザルの役割も兼ねさせる
・計画書を段階的にし、初期承認はプロポーザルの事項、着手前の計画書承認はすべての項目という使い分けをする

プロジェクトプロポーザルとして組織と握るべき内容には、たとえば以下のような項目がある。

・プロジェクトのゴール
・プロジェクトの優先度
  ベネフィットカテゴリ
  ポートポリオ上の位置づけ
  緊急性
・コストベネフィット分析
・プロジェクト実施条件
  制約条件
  前提条件
・マイルストーン
・プロジェクト完了条件
・プロジェクトによる学習

この中で、プロジェクト側がもっとも注意を払うべきなのは、前提条件である。多くのプロジェクトマネジャーは制約条件(納期や予算、収益目標)に気をつかい、厳しい場合には交渉しようとする。

しかし、これはプロジェクトはもちろん、組織によっても好ましいことではない。むしろ、制約条件をクリアするためには、組織がどのような協力をしてくれればよいかを検討し、それを前提条件としてプロジェクトスポンサーと交渉すべきである。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「プロジェクトマネジャー養成マガジン」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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