ラテラル・シンキングの第6回目です。
前回は「思考を縦に飛躍させる」方法として、「最終形から考える方法」ことを紹介しました。それに対応したクイズだったためか、多数のご応募をいただき、結果としてタイムスタンプの一番早い方がラテラル賞となりました。
ラテラルクイズは、今回も用意しておりますので、どしどしご応募ください。
さて、今回は、人の意思決定に大きな偏りを与え、ときにはとんでもない結論を導きだしてしまうこともあるヒューリスティクスと、その対策を見ていきましょう。
人が無意識に使ってしまっている認知の偏りや歪みのクセを知ることで、より多面的なラテラル・シンキングができるようになるのです。
ちょっと、つぎの問を考えてみてください。
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問1:「トルコの人口は2000万人より多いですか? 少ないですか?」
問2:「では、トルコの人口はどれくらいだと思いますか?」
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多くの人びとは、このような流れの質問をすると、先の質問の数字に引っ張られて数字を推測します。
実際のトルコの人口は約7000万人と中東随一の巨大国家なのですが、そのことを元々知っていたという人以外は、問題中の2000万人という数字に引っ張られ「多くて4000万程度だろう」と答えがちです。
これは、「アンカリング」と呼ばれるヒューリスティクスのひとつです。
人は、どこから手をつけていいかわからない問題を解くためのカギとして、しばしばヒューリスティクスを用います。
直面している問題を解決したり、目の前にありながら不確実である事柄に対して判断を下す必要があるのにもかかわらず、そのための明確な手がかりがない場合に、経験や感情、思い込みなどをベースに簡便に決定を行うのです。
実際、ヒューリスティクスにより、多くの場合ある程度満足のいく判断を行うことができます。完全な答えを素早く見つけられることもあります。
しかし、ヒューリスティクスは簡易版の解法なので、ときにとんでもない間違いを導きかねません。バイアスと呼ばれる認識の偏り等を生じさせてしまうのです。
また、ラテラル・シンキングにおける思考の拡がりをじゃましてしまう大きな要因でもあるのです。
それを避け、思考を飛躍させるためには、このような思考を邪魔するものの存在を知り、そこに引き込まれないようにしなければなりません。
視点や思考の変更や、他者への相談、自問自答など様々な方法がありますが、ここでは、代表的なヒューリスティクスと、それに邪魔されないための簡単な自分への問いかけを活用する方法を紹介します。
■アンカリング効果
初めに見せられた情報が基準となってしまい、その情報を元に物事を判断するようになる傾向のこと。
問:「事前に見た数字の情報に引っ張られていませんか?」
問:「その数字に妥当性はありますか?」
■確証バイアス
いったん自分の意見や態度を決めると、それを裏付ける情報ばかりを集めて、反対の情報を無視したりする傾向のこと。
問:「仮説に対して都合の良い情報ばかりを集めていませんか?」
問:「都合の悪い情報は無視していませんか?」
■現状維持バイアス
現状からの変化はプラスの可能性だけでなくマイナスの可能性があるので、現状が特別おかしな状態でない限り、そのままの状態を選択しようとする傾向のこと。
問:「前例踏襲で本当にいいのですか?」
問:「なぜ、前例を踏襲するのですか?」
■サンクコスト効果
先行投資が巨額であればあるほど、その損失を回避しようとの意識が働き、将来予測のマイナス面から背を向け、プラス面ばかりを見てしまう傾向のこと。
問:「せっかく、ここまできたのだから、と思っていませんか?」
問:「今までの努力を無駄にしたくない、という理由ではありませんか?」
皆さんも、ぜひ何か自分が判断を下そうとするときには、「思考が偏っていないか」
「思考の可能性を狭めていないか」を意識するようにしてください。
いつの間にか縛られていた業界の慣習や自身の経験等によるヒューリスティクスの存在に気がつくことで、新たなアイデアや解決策が見えてくることがあるはずです。
食物繊維が豊富で各種栄養素を含み、その手軽さからすっかり定着したシリアル食品ですが、発売当初の売れ行きは予想に反してかんばしいものではありませんでした。
なんとかしようとスーパーの売場を廻っていた担当者は、あることに気づきます。
いそいで店員に声をかけ、ある工夫をしたところから売上が大きく伸び始めました。
さて、製品自体を変えずに売上をアップさせた方法とは一体何だったのでしょうか?
クイズへの回答はこちら ※終了しました。
よりご応募ください。締切は1週間後、6月26日(金)24:00です。
今回の賞品は、アマゾンギフト券1500円分です!
選ばれた方の答えや、「惜しい!」という方の答え何点かは、次回に行います当選者発表の際にご紹介します。本名はちょっという人は、ニックネームで応募してください。
山下貴史
マーケティング戦略コンサルタント。大学卒業後、大手シンクタンクへ入社。システム開発やコンサルティング業務を経て、戦略系コンサルティング会社に転職。リサーチ部門で、主に流通系をテーマに取り扱う。現在はコンサルティングファーム「IVC」でラテラル・シンキングを活用したコンサルティングやセミナーを展開。フィールドワークを分析が得意で、「人生はエンターテイメント」をモットーに、日々精進している。「世界一わかりやすいマーケティングの本」、「買う気にさせるメッセージマーケティング」、「あやしい商品が売れる、ごくまっとうな理由」など、著書多数。
本連載は終了していますが、PM養成マガジン購読にて、最新の関連記事を読むことができます。
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