ラテラル・シンキングの第4回目です。
前回は、「思考の枠組み問題」をクリアするための方法として、「ゼロベース発想」を紹介しましたが、今回は「思考の枠組みを拡げる」方法を見ていきましょう。
MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiv)という言葉はご存じかと思います。
念のために簡単に説明すると、構成要素にダブりがなく、また全体から見たときにモレがないようにすることです。さまざまな課題を考えるときに、MECEを心がけることで、確度の高い意思決定が行えるのです。
実は、MECEは、言葉の説明を聞くと、その必要性を理解しやすいのですが、実際にビジネスシーン等において、それを活用しようとすると、つまづくことが少なくありません。
たとえば、小著『3分でわかるラテラル・シンキング』では、次のような事例を紹介しています。
背景は省略しますが、小さなでオフィスでお湯を沸かす道具を購入しようとしたときのことです。数名のメンバーが話す中で候補に挙がったのは、ガスか電気によるものでした。
ガスによるものは、そもそも都市ガスが来ていない、火を使うことは許可されていないとの理由から却下されました。
次に電気によるものとして、電気ポットを検討したのですが、お湯を使う頻度が高くなく、水の入れ替えも面倒とのことで選考からはずれました。
必要なときにだけお湯を沸かす電気ケトルをとのアイデアも出たのですが
「毎日使うものでもないし、置き場所も・・」との意見が出てペンディングになり、結局、見送りになったのです。
数ヶ月後、偶然、お湯を沸かす装置が見つかりました。
きっかけは、あるスタッフが電子レンジでお弁当を温めていたときのことです。
「電子レンジで、お弁当が温まるのだから、お湯も沸かせるんじゃないか?」
とひらめいたそうです。
しかし、「電子レンジには、お湯沸かしスイッチがない」「そもそも、何に水を入れるのか?」「お湯が沸いてもわからないのでは」等々、疑問もわき始めたそうです。
しかし、あきらめずに駄目元でインターネットで検索を繰り返し続けることで、見事「電子レンジ専用ケトル」を見つけてきたのです。
それは透明樹脂の計量カップで、必要な量のお湯が沸かせるようになっています。
沸騰したらピーと音が鳴って知らせる機能もついています。
電気ポットや電気ケトルに比べ十分小さく、コードもないため狭いオフィスでもじゃまにならない、樹脂製のコップであるため洗浄や乾燥の手間もほとんど不要と、我々の要望にはぴったりの商品でした。
このケースは、思考をあきらめないことにより思考の枠組みが拡がったケースです。
スタッフが、お湯を沸かすという希望を記憶の片隅においておいたことで、当初の想定より抽象度の高い発想を生み出したのです。
当初の発想が間違っていたのではないのですが、十分ではなかったのです。
その段階では、お湯を沸かすためのものとして、ガスか電気の「熱」しか思いついていなかったのです。
直接、熱を発するものという「思考の枠組み」にとらわれてしまっていたのです。
振動で熱を生じさせる電子レンジが部屋の中にあったにもかかわらず、MECE(ロジックツリー)の対象として認識されていなかったのです。
そのため、一度は、あきらめることとなりました。しかし、そのことを課題として頭の隅に置き続けていたスタッフにひらめきが生じ、思考の枠組みが拡がり、より上位からのMECE(ロジックツリー)に変化したのです。
一度、拡がった思考の枠組みは同様の問題に対しては応用が利きます。
今後、お湯を沸かす装置を考えるとき電子レンジの存在は最初から出るでしょう。
このようなことを「抽象度を上げる」といいますが、これを実現するためには
一度作成したMECE(ロジックツリー)に対して、それを広げたりするような
チャレンジを怠らない心構えが必要となります。
課題を頭の片隅に置き、あきらめない思考習慣により思考の枠組みが拡がるのです。
ある国のテロリストの話。
そのテロリストは、市民に紛れ込むように多種多様な人びとが住むアパートの一室を借りて、ひっそりと過ごしていた。
ある日のこと、いつものように買い物に出かけた男は、ポストに入った新聞と郵便を受け取り部屋へ戻っていった。
それから数時間後、男の部屋から爆音が聞こえ、男は死んでしまった。
一体何があったのだろうか?
クイズへの回答はこちら ※終了しました。
よりご応募ください。締切は1週間後、5月29日(金)24:00です。
今回の賞品は、アマゾンギフト券1500円分です!
選ばれた方の答えや、「惜しい!」という方の答え何点かは、次回に行います当選者発表の際にご紹介します。本名はちょっという人は、ニックネームで応募してください。
山下貴史
マーケティング戦略コンサルタント。大学卒業後、大手シンクタンクへ入社。システム開発やコンサルティング業務を経て、戦略系コンサルティング会社に転職。リサーチ部門で、主に流通系をテーマに取り扱う。現在はコンサルティングファーム「IVC」でラテラル・シンキングを活用したコンサルティングやセミナーを展開。フィールドワークを分析が得意で、「人生はエンターテイメント」をモットーに、日々精進している。「世界一わかりやすいマーケティングの本」、「買う気にさせるメッセージマーケティング」、「あやしい商品が売れる、ごくまっとうな理由」など、著書多数。
本連載は終了していますが、PM養成マガジン購読にて、最新の関連記事を読むことができます。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆クリティカルシンキング入門〜システム思考で考える ◆7PDU's
日時・場所:【Zoom】2025年 01月 17日(金)9:30-17:30(9:20入室可)
【Zoomハーフ】2025年 02月 08日(土)13:00-17:00+3時間
【Zoomナイト】2024年 12月 18日(水)20日(金) 19:00-21:00+3時間
※Zoomによるオンライン開催です
※ナイトセミナーは、2日間です
※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/critical.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
※Youtube関連動画「クリティカルシンキング」「プロジェクトマネジャーのためのシステム思考」
「クリティカルシンキングはプロジェクトマネジメントに必要」
「クリティカルシンキングで影響力の武器を使う」
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
【カリキュラム】
1.クリティカルに考えるとは
2.ロジカルシンキング
3.何を疑うのか(合理性)
4.何を疑うのか(内省)
5.クリティカルシンキングの4ステップ
6.具体的状況におけるクリティカルシンキング演習
7.クリティカルシンキング総合演習
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆クリティカルシンキングを活用したプロジェクトマネジメントの実践 ◆7PDU's
日時・場所:【Zoom】2024年 12月 10日(火)9:30-17:30(9:20入室可)
【Zoomハーフ】2025年 01月 18日(土)13:00-17:00+3時間
【Zoomナイト】2025年 02月 19日(水)21日(金) 19:00-21:00+3時間
※Zoomによるオンライン開催です
※ナイトセミナーは、2日間です
※ハーフセミナー、ナイトセミナーは、事前学習が3時間あります。
※少人数、双方向にて、演習、ディスカッションを行います
講師:鈴木 道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/critical_practice.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
※Youtube関連動画「クリティカルシンキング」「プロジェクトマネジャーのためのシステム思考」
「クリティカルシンキングはプロジェクトマネジメントに必要」
「クリティカルシンキングで影響力の武器を使う」
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
【カリキュラム】
1.クリティカルシンキングトレーニング
【講義】仕事の本質を考え、関係者として、評価する
【エクスサイズ】現状を疑う
【エクスサイズ】問題を疑う
【エクスサイズ】視点を変え、別の可能性を追求する
2.クリティカルシンキング応用(1)〜要求分析
【講義】本質要求を探す
【エクスサイズ】顧客の現状認識を疑う
【エクスサイズ】顧客の要求を疑う
【エクスサイズ】顧客の要求の本質を追求する
3.クリティカルシンキング応用(2)〜リスクマネジメント
【講義】クリティカルシンキングとリスクマネジメント
【エクスサイズ】プロジェクト計画を疑う
【エクスサイズ】プロジェクト目標を疑う
【プロジェクト】クリティカルシンキングでプロジェクト計画を見直す
4.クリティカルシンキング応用(3)〜ステークホルダーマネジメント
【講義】ステークホルダーを多面的に分析する
【エクスサイズ】リスクからステークホルダーを特定する
【エクスサイズ】ステークホルダーの影響力を疑う
【エクスサイズ】視点を変え、ステークホルダーの意識を変える
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛