ラテラル・シンキングの第2回目です。
今回からは小著『3分でわかるラテラル・シンキング』で紹介している実践のためのステップをベースに説明していきます。
本書とかぶる事例や説明もでてきますが、ご容赦いただければ幸いです。
まずは、前回のエレベーターの事例で、ラテラル・シンキングについて何となくイメージはできたがモヤモヤが残るという方のために「ラテラル・シンキングとは?」の説明をしておきましょう。
詳細はここでは触れませんが、ラテラル・シンキングを一言で言うと「思考を飛躍させる思考習慣」です。
1970年代には水平思考として紹介され、ブームを巻き起こしました。
発想力、直感力、ひらめき、右脳的思考等の言葉を使って表現されることもある課題に対して、選択肢を広げて考えたり、直観的に正解のあたりをつけるような思考スタイルです。論理的思考と組み合わせることで課題解決力や発想力が高まります。
なお、提唱者であるデボノ博士は、ラテラル・シンキングのことを「すぐに学び取れてすぐに応用のきく、魔法のような思考方式ではない。それは、ある種の思考態度であり、思考習慣である」と言っています。
まあ、理屈っぽい話はこの程度にして・・・
前回の連載では、エレベーターの待ち時間におけるクレームを解消する方法について見ていきました。実は、この問題はさまざまな切り口から語られることがあります。
「思考の枠組み問題」、「問題の定式化」、「思い込み問題」、「パラダイム」等、さまざまです。
ちょっと次の質問を考えてみてください。
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男が市場へ向かって歩いていました。男は、市場で売るための野菜を持ち、子ヤギと狼を連れています。しばらく歩いていると川にさしかかりました。ちょうど、船が一隻あったのですが、舟には男以外にどれか一つしか積むことができません。
ところが男がいないと、狼は子ヤギを食べてしまい、子ヤギは野菜を食べてしまいます。どうすれば、男は無事に川を渡れるでしょうか?
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紙を取り出して図を書くことで解決できたでしょうか?
あまり複雑ではないので、頭の中で男と二匹と野菜を交互に動かすことで答えを見つけられた方も多いでしょう。
最初に子ヤギを乗せて対岸に渡り、男が単身で元の岸に戻る。そして、狼を乗せて対岸に渡り、男と子ヤギで再び元の岸に戻る。そして、子ヤギの代わりに野菜を乗せて対岸に渡り、男が元の岸に戻る。そして、元の岸に残っていた子ヤギを連れて、対岸に渡り完了となる。これは狼と野菜の順番を入れ替えても大丈夫。
確かにこのような順番で行けば、男と二匹と野菜は無事対岸に渡ることができます。
しかし、そんな面倒くさいことをやらずに、
「上流か下流へ向かって歩き、橋を探す」
「男と二匹と野菜が乗れるような船を探す」
「狼と子ヤギにはロープを付けて泳がせる」
というような答えではいかがでしょうか?
「そんなのナシでしょう」「トンチじゃないんだから」「くだらない」と思われる方もいるかもしれませんが、実は、これが問題解決における「思考の枠組み問題」等と呼ばれる課題です。
問題に対する答えの範囲を、どの程度まで広げるのかという大切なテーマであり、残念ながら、「こうすればよい」という特別な解決手段はないのです。
論理的に考えようとすればするほど、この思考の枠組みの大きさには制約が生まれてきます。この制約からはずれるようなアイデアや発想を生み出そうとするのがラテラル・シンキングなのです。
さて第一回、第二回とラテラル・シンキングの概要について説明してきました。
次回より具体的なラテラル・シンキングの手法について紹介していきます。
一人息子と離れて暮らす金持ちの父親が、病気でこの先長くないと悟り、遺言状を書きました。
「我が家には、先祖代々からの家訓に従ってきたことで、広大な土地と農園、大きな屋敷、数え切れないほどの金銀宝石などがある。これら財産を全て一人の奴隷に譲ることにする。ただし、その中からひとつだけ、一人息子が望むものがあれば、それを一人息子に譲るものとする」
なぜ、この父親は、このような遺言状を書いたのでしょうか?
クイズへの回答はこちら ※終了しました。
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山下貴史
マーケティング戦略コンサルタント。大学卒業後、大手シンクタンクへ入社。システム開発やコンサルティング業務を経て、戦略系コンサルティング会社に転職。リサーチ部門で、主に流通系をテーマに取り扱う。現在はコンサルティングファーム「IVC」でラテラル・シンキングを活用したコンサルティングやセミナーを展開。フィールドワークを分析が得意で、「人生はエンターテイメント」をモットーに、日々精進している。「世界一わかりやすいマーケティングの本」、「買う気にさせるメッセージマーケティング」、「あやしい商品が売れる、ごくまっとうな理由」など、著書多数。
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