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ベースラインと実績との差異分析、プロジェクトのレビューを実施し、アセスメントを行い、リカバリーの可否、目標変更にてプロジェクトを続行するのか中止するのかを判断する

No14. プロジェクトの中止《一般》(2014.03.19)

プロジェクトマネジメントオフィス 鈴木道代

本号から、著者が変わり、鈴木が担当しますので、よろしくお願いします。
50回程度の連載の予定なのですが、2年ぶりの連載ですので、最初は、一般のカテゴリーから再開したいと思います。

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【目的】プロジェクトを終了する
【用途】プロジェクト状況に問題が発生した場合に、判断の一助とする
【効用】プロジェクト続行より、中止することで、より高いベネフィットを得る
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◆プロジェクトの状況を認識する

プロジェクトが中止されることは、以前は、ほとんどありませんでした。
5,6年前は、とにかく、終了するまでは、スキルの高いメンバーやいわゆるホワイトナイト(リカバリーの上手なPM)などを投入し、何年かかろうが、コストが数倍になろうが続けたそうです。
が、最近は、プロジェクトの中止をしばしば聞くようになりました。やはり、中止する場合の判断材料などが整ってきたからでしょうか。

通常、プロジェクは、完了によって価値を生みますが、すべてのプロジェクトが首尾よく終わるわけではありません。結局、プロジェクトが成功に終わらない場合は、なるべく早く、プロジェクトを中止する方が、多くのベネフィットを生むことになります。

プロジェクトを早期に終了する、つまり、中止する場合には、大きく分けて、次の2つの理由があります。

一つ目は、プロジェクトの目的が実現できないほどの進行状況の場合であり、実績レポートなどにて、次の状況が明らかになった場合です。

・スケジュール遅れのため、実行する上で問題がある
・予算が調達できない、もしくはコスト消費が高すぎて予算をオーバーする
・要員不足や資源の不足し、プロジェクトを続けられない
・利用可能な技術や保有能力でスコープを達成することができない

二つ目は、ビジネスと関係がある場合です。

・ビジネス戦略全体を変更した
・より緊急なプロジェクトもしくは定常業務のために優先順位を変更した
・あまりにも多くのプロジェクトが進行中であると認識した
・予算が調達できない、もしくはスポンサーシップを失った

上記のことが発生した場合、もしくは予見された場合には、プロジェクトを中止するかどうかを判断するためにアセスメントを行います。

◆プロジェクトの状況をアセスメントする

ベースラインと実績との差異分析を行い、プロジェクトのレビューを実施し、アセスメントを行い、リカバリーをするのかしないのか、リカバリーをする場合、目標変更をすることでプロジェクトを続行するのか中止するのかを判断します。

リカバリーの必要性を判断する指標は以下の通りです
・スコープ
・コスト
・スケジュール
・リソース(人、モノ)
・品質
・リスク
・その他(ベンダーの信頼性など)

リカバリーが必要と判断されれば、目標(スコープ縮小やスケジュール延長など)を設定し、再計画を行います。
また、リカバリーするよりも中止の方がベネフィットが高いと判断された場合はプロジェクトは中止になります。

例えば、ある戦略を実行するプログラム内の1つのプロジェクトであった場合、後続プロジェクトへ本プロジェクトのスコープを引き継いで実行した方がプログラムとしてのベネフィットが高いと判断された場合などです。

◆終了する

プロジェクト中止が決定された場合、すべてのステークホルダーにプロジェクト状況の文書が報告されます。
そして、通常のプロジェクト終結と同様、次のことが行われます。

・達成された結果の文書化
・レッスンズラーンドの実施
・中止に至った状況の記述
・プロジェクトマネジメントによるプロジェクトデータの保管
・貢献の承認
・調達の終結

最後に、プロジェクトの早期の中止は、続けるよりベネフィットが高いことを認識し、プロジェクトメンバーを落胆させないことが重要です。


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著者紹介

鈴木道代、PMP、PMS
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス、PMstyleプランナー
神戸大学工学部卒業後、アパレル企業の情報システム部に所属し、データベース管理者、システムエンジニア、リーダーとして社内システムの開発・マネジメントに携わる。
その後、独立し、小規模のシステム開発プロジェクトを受託し、プロジェクトマネジメントや開発マネジメントを担当する。
2004年、PMPを取得し、株式会社プロジェクトマネジメントオフィスにて、プロジェクトマネジメントのコンサルティング、研修講師、セミナー講師を担当する。2010年、PMS取得。

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