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No13. レスポンシビリティを委ねる《PMstyle》(2011.12.14)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人

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【目的】アカウンタビリティを果たす

【用途】メンバーに作業を分担し、責任と意欲を持って取り組ませる

【効用】メンバーが意欲で作業に責任を持つことにより、高い品質の成果物を期待できる

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◆プロジェクトにおけるメンバーの責任

リーダーシップの役割の中で、重要なことはメンバーに責任を委ねることである。責任には、アカウンタビリティとレスポンシビリティの2種類がある。アカウンタビリティは成果責任(あるいは、成果の説明責任)であり、レスポンシビリティは実行責任を意味する言葉である。

米国と日本の感覚の差があるが、米国的なプロジェクトマネジメントの考えとしては、アカウンタビリティはプロジェクトリーダーが持つ。プロジェクトリーダーはアカウンタビリティを果たすための計画を策定し、その計画のレスポンシビリティをメンバーに委任される。そのために、RAM(責任分担表、Responsibity Assignment Marix)を作成する。

従って、メンバーがレスポンシビリティを果たし、計画通りに作業を進めていき、成果が十分でなかった場合には、その責任はプロジェクトリーダーが負うことになる。それ以上でもそれ以下でもない。

日本的な感覚としては、レスポンシビリティはメンバーにあるが、アカウンタビリティはプロジェクトマネジャーにあると考えるのは少し違うかもしれない。日本の組織の文化は誰も責任を取らない、言い換えると、メンバーに責任を押し付けた上で不問にする文化である。アカウンタビリティはプロジェクトの連帯責任になると考えるの自然だろう。

そのような感覚の違いがあることを先にお断りした上で、どうあるべきかを議論したい。

◆メンバーにレスポンシビリティを委ねるためにすべきこと

メンバーに計画のレスポンシビリティをゆだねる場合には、目標に対して、以下のようなことが保証されていなくてはならない。

(1)SMARTな目標になっていること
(2)もし計画が変わっても、目標自体は最小限の変化にとどまるような安定な目標になっていること
(3)ビジネスの目標やプロジェクトの目標と整合した計画になっていること
(4)複数のゴールの間に一貫性があること
(5)意図する結果が明確であること

たとえば、WBSを作って、ワークパッケージの形でメンバーにレスポンシビリティを委ねるのであれば、

(1)期限が明確であり、期限の中に納まるような分量の作業であること
(2)ほかの部分のスコープが変わったときに当該ワークパッケージの作業に影響が少ないこと
(3)成果物がプロジェクトの目的と整合していること
(4)ワークパッケージに複数の成果物があれば、関連性が明確で、ワークパッケージで完結していること
(5)ワークパッケージの成果物が明確であること

といった条件がクリアされている必要がある。このような条件がクリアにされていない限り、責任を果たすモチベーションが著しく低下する。

と同時に、進捗が収集され、結果がレビューされ、問題がないかどうかが確認され、問題があれば解決されなくてはならない。そして、何よりも重要なのは、報奨されることだ。


◆報奨の重要性

プロジェクトにおいて、序盤戦は経営トップなどの励ましもあって懸命に頑張るが、中盤戦の本来、頑張って欲しいあたりから燃料切れするプロジェクトが多いが、これは「報奨」という燃料が補給されていないためだ。

日本的な感覚でいえば、ワークパッケージをぽんと投げれば、メンバーの間で分担にして作業を進めてくれるだろうという感覚がある。メンバーがアカウンタビリティの一端を担うというのはそういうことだ。

だが、だんだん、そのような感覚というのは通用しなくなってきている。理由はアカウンタビリティを一端を担うという感覚が薄くなってきていることだと思う。ワークパッケージを委ねるのではなく、ワークパッケージを目標と責任に分けて委ねないとワークパッケージの実行は難しくなっている。


◆マルチプロジェクトにおけるレスポンシビリティはメンバーの判断に任せる

レスポンシビリティの中でもう一つ重要な議論は、マルチプロジェクトの場合にどうするかという議論である。メンバーが専任の場合にはこの問題は発生しないが、兼任の場合には必ず起こる。

この問題の解決法は、各プロジェクトがRAMを作って、実行はメンバーの判断にゆだねる以外にない。組織マネジャーが複数のプロジェクトをコントロールしており、その配下のメンバーの作業時間の取り方などに介入しているケースがあるが、これは百害あって一利なしである。

コミュニケーションが不要だとまでは言わないが、すくなくとも、メンバーが自発的なコミュニケーションを取り、自らがコンフリクトを解決するような活動をするようにコーチングすべきである。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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