第92回 洞察の源泉(2016.07.06)
◆イノベーションと洞察
イノベーションには洞察が必要だ。イノベーションを要求するのは、効率化、売上げ創出、などであり、それをさまざまな視点から実現していく洞察がイノベーションであるといえる。洞察の対象には、市場動向、顧客ニーズ、自社システムや仕組みなどさまざまな要素がある。
これに対して、洞察の源泉、つまり、どのような切り口でイノベーションを見つけるかについてはどうだろうか。
◆源泉の例
たとえば、ロシアのEコマースを考えてみる。1億人を超える中流層の消費者、7500万人のインターネット契約者がいたにも関わらず、小売りにおけるEコマースのは1.5%に過ぎなかった。
ここで、起業家のニース・トンセンはその理由を、郵便システムの信頼性がないことと、クレジットカードが普及していないことだと考えた。そして、オンラインの衣料品店ラモダを立ち上げた。ラモダは、顧客の購入品を自社の物流で配送し、代引きで集金し、ファッションに関するアドバイスまで行った。
この例から分かるように、イノベーションにつながる洞察は、現状をどのように解釈するかである。いわば、本質的な問題は何かという洞察だ。ラモダの例でいえば、中流層が多く、インターネット契約が多いのに、Eコマースの率が低いという事象から、そのような状況を引き起こしている問題を洞察し、
・郵便システムの信頼性の問題
・クレジットカードの普及の問題
の2つを本質的な問題だと考えたわけだ。
◆洞察の源泉をどこに見つけるのか
ここには2つの示唆がある。一つは、洞察の源泉をどこに見つけるかだ。この例だと、変則性に見つけていると見ることができる。一般的な事例では、中流層が多く、インターネット契約が多いともっとEコマースが多いというわけだ。
この点に関しては、モハン・ソーニーとサンジャイ・コースラは、「イノベーションの「種」を見つける7つのコンセプト・ワード」というハーバードビジネスレビューの論文の中で、
・変則性
・交錯点
・不満
・正統性
・極端さ
・旅
・類似点
の7つのキーワードを示しているので、参考になる。
◆どのように洞察するか
もう一つの示唆は、その源泉からどのように本質を洞察するかだ。これについては、概念的に考える、構造的に考えるなど、いくつかの方法があるが、この例だと大抵のやり方で本質にたどりつける。たとえば、「なぜ、変則性が生まれているのか」という問題に対して、WHYを考え、概念的に考えてみると、おそらく、クレジットカードの問題はすぐに出てくる。また、郵便システムの信頼性の問題もインターネットの普及率が高い理由を考えてみると出てくるだろう。
【参考資料】
モハン・ソーニーとサンジャイ・コースラ「イノベーションの「種」を見つける7つの
コンセプト・ワード」、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2015年09月号)
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好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
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